研究課題
本研究ではエッセンシャルオイルの外耳中耳における抗炎症効果・内耳有毛細胞の障害予防効果に焦点を当てて検討を行った。1.中耳炎モデルの作成とエッセンシャルオイルによる抗炎症効果中耳炎を作製するに当たり、モルモットに対してPhorbol 12-Myristate 12-acetate(PMA)を投与した。PMA投与24時間後には著名な中耳炎を認めることができた。このモデルを用いてエッセンシャルオイルのオレガノ、クローブ、ゼラニウムを投与24時間後に中耳内を洗浄後投与し、溶媒のアセトンを投与した対側耳と比較した。オレガノにおいて中耳粘膜の肥厚が抑えられる傾向を認めた。ただし、現時点では作成した中耳炎の炎症が強く個体によっては中耳炎の抑制が認められない場合もあり、現在中耳炎モデルにおいてPMAの投与量を再検討している段階である。2.内耳有毛細胞培養細胞におけるアミノ配糖体有毛細胞障害の予防効果ICRマウスの蝸牛有毛細胞を摘出し培養した。培養液に硫酸カナマイシンを投与して同時にエッセンシャルオイルを投与した場合に有毛細胞の障害の程度を比較した。エッセンシャルオイルはオレガノ、クローブ、ゼラニウムを用いた。エッセンシャルオイルはいずれも非水溶性であり、溶媒にアセトンを用いた。培養の結果、各種エッセンシャルオイルを投与した群では有毛細胞の障害が抑制されていることが分かった。しかしながら、アセトンによる有毛細胞障害も認めており、今後予防メカニズムなどの解明に向けては、溶媒の変更などを含めて実験系を再検討する必要がある。
2: おおむね順調に進展している
エッセンシャルオイルにおける中耳炎・内耳障害の予防効果はおおむね明らかであることが分かった。今後より、正確に効果を証明するために来年度以降検討を行っていく必要がある。
中耳炎モデル・内耳障害モデルにおけるエッセンシャルオイルの溶媒について再検討を行っていく。適切なモデルが完成した段階で、障害軽減のメカニズムにつて検討を行っていく予定である。
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