研究課題/領域番号 |
26462548
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451809)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エッセンシャルオイル / 中耳炎 / 内耳障害 / アミノ配糖体 / 障害予防 |
研究実績の概要 |
本研究ではエッセンシャルオイルの中耳粘膜に対する抗炎症効果、内耳有毛細胞のアミノ配糖体に対する障害予防効果について昨年に引き続き検討した。本年度は効果メカニズム解明のためより安定した障害条件を検討することを目指した。 1.中耳粘膜に対する抗炎症効果 昨年度PMAを用いた中耳炎モデルを用いオルガノにおいて粘膜肥厚を予防する効果が一部で確認されたため、PMAの濃度条件、曝露時間などの条件を変更して検討を行った。その結果PMA投与48時間後の組織で、オルガノ群と非投与群を比較すると明らかに粘膜下の血球浸潤が減少していることが分かった。ただし、粘膜上皮はいずれの群においても剥脱消失しており、中耳粘膜はPMAにより完全に障害されてしまっているものと思われた。今後粘膜が剥奪のない中等度中耳炎モデルを作成する。この為に、LPS、Poli ICを用いた中耳炎モデルを作成し、オルガノの効果を検討してゆく予定ある。また、ほかのEssential Oilについても検討を加える。 2.内有毛細胞のアミノ配糖体に対する予防効果 昨年度硫酸カナマイシンに対してエッセンシャルオイルの効果が認められたが、本モデルでの細胞障害がかなり強いため、今後作用メカニズムを解明するには細胞障害の軽いモデルで検討するべきと考えたことから、本年度はゲンタマイシンを長期(72時間)投与するモデルにおいてエッセンシャルオイルの効果が認められるかを検討した。Oishi(2014)らの方法に従い検討を行ったが、適切な有毛細胞の障害をきたす濃度設定を決定するのに時間を要した。現在ゲンタマイシンの最適濃度を決定したがエッセンシャルオイルの有効性をまだ確認できていないのが現状である。来年度は有効性の確認できるエッセンシャル濃度の調整を行い、アポトーシスの抑制・抗酸化作用などについて免疫染色を行い検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は中耳炎・内耳障害モデルともに最適な障害予防モデルを完成させメカニズム解明に踏み込む予定であったが、中耳炎モデルではPMAにおいては中耳粘膜を残すことのできる中程度の障害モデルの作成がうまくいかず、今後新たなモデルの検討が必要になった。一方内耳障害モデルにおいても障害モデルの確立に時間がかかっており、メカニズムの解明を開始できる段階に移行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
年度前半で最適な中耳炎・障害予防モデルおよび内耳障害・障害予防モデルを完成させる。具体的にはLPSおよびPoli icによる中耳炎モデルをモルモットにより作成する。これらは文献上もモデルが存在するので時間はかからないものと考えている。内耳障害モデルについてはエッセンシャルオイルの濃度を変えて障害予防が認められる濃度を決定する。内耳障害モデルに関してはほぼ確立できたので本件も年度前半には達成可能と考えている。年度後半にはメカニズムの解明を進める予定である。 中耳炎モデルにおいては、粘膜内の炎症の指標となるphosphorylated Ikα 、phosphorylated p65の免疫潜蝕などを検討する予定である。 内耳障害モデルにおけるCaspase3,9、Tunnel等の免疫染色の違いをエッセンシャルオイル投与群、非投与群で検討する。
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