研究課題/領域番号 |
26462561
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
才川 悦子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60404688)
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研究分担者 |
大國 毅 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40464490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 上皮 / 中耳炎 / ウイルス感染 / RSウイルス |
研究実績の概要 |
小児急性中耳炎発症に関して、その主な場である咽頭扁桃、鼻粘膜上皮におけるウイルス感染による細菌受容体の発現誘導に関して研究を遂行中である。確立した鼻粘膜上皮細胞、アデノイド上皮細胞、さらに呼吸器上皮細胞株であるA549, BEAS2Bを用いてRSウイルス感染系を確立し、感染に伴って産生される種々のサイトカインについてELISA法を用いて検討を行った。また、このサイトカイン産生が臨床的に汎用されている抗菌剤投与によって抑制される可能性を示し、その結果を2014年耳鼻咽喉科感染症エアロゾル学会および鼻科学会にて口演発表を研究協力者の高野および連携協力者の小笠原の研究班が行った。ウイルス感染による上皮応答性のシグナル伝達経路についてウエスタンブロットやルシフェラーゼアッセイを組み合わせて、NFkBやp38MAPKなどのシグナル伝達経路を中心に詳細に検討予定である。さらに細菌感染のモデルとして、TLR2,4の作動薬による刺激を上皮に行うことによって産生されるサイトカインの定量を行っている。一方でウイルス感染で上皮で主に産生される新型インターフェロンであるラムダ1,2,3に関しても検討を行っており、ELISA法では様々な上皮がインターフェロンラムダを産生することが判明した。シグナル伝達経路として細胞内センサーであるRIG-I, MDA5などをリアルタイムPCRとウエスタンブロット法を用いてmRNAレベル、蛋白レベルで発現を検討中である。さらに、RSウイルス感染によって上皮産生サイトカインであるTSLPが産生されることもELISAによる検討で明らかとなっており、反復する感染によってアレルギー性鼻炎や喘息の発症が多くなるというこれまでの知見を裏付けるものであった。また、中耳炎反復児のアデノイド上皮細胞において細胞間接着因子の一つであるクローディン4の発現が上昇していることも判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルス感染系について当初の予定通り、系の確立や基礎医学的検討は網羅的に施行できている。一方で上皮の付着因子の検討については今後検討を行うこととしており、細菌受容体の確認のために肺炎球菌を用いて上皮との関連性を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ウイルス感染後の宿主細胞の変化として、細菌受容体のみならず、細胞間接着装置や細胞周期に関わる分子群等も検討を行い、宿主細胞との免疫応答を確認していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた抗体が今年度には納入できないことがわかり、8万円程度の残金が生じた
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次年度使用額の使用計画 |
計画を遂行するために、海外輸入の抗体を計画に従って購入しその他細胞培養試薬、ELISA試薬、realtimePCR試薬を購入する予定である。
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