研究実績の概要 |
研究にはC57BL/6 マウス(Wild-type p38+/+, p38+/-)を用いる。マウス中耳炎モデル(Mouse models of induced otitis media. Ryan AF, Ebmeyer J, Furukawa M, Pak K, Melhus Å, Wasserman S, Chung W. Brain Res. 26;1091(1):3-8, 2006.)に従ってこの2種類のC57BL/6 マウス(Wild-type p38+/+, p38+/-)に細菌性中耳炎を発症させる。 これまでの私の研究によりJNK2 が細菌性中耳炎において中耳粘膜肥厚にもっとも関与している可能性が高い(Jun N-terminal protein kinase enhances middle ear mucosal proliferation during bacterial otitis media. Furukawa M, Ebmeyer J, Pak K, Austin DA, Melhus Å, Webster NJG, Ryan AF. Infect Immun. 75(5):2562-71,)ことが分かっている。 そこで細菌性急性中耳炎を発症したp38 ノックアウトマウス(p38+/-)にて中耳粘膜肥厚においてp38 の役割を明らかにする。急性中耳炎は発症後8 日目には自然軽快してくるが、その時間経過中の中耳粘膜肥厚においてp38の役割も明らかにする。本研究の独創的特色は、細菌性中耳炎において引き起こされる中耳粘膜肥厚の分子制御を世界に先駆けて解明する事である。更にJNK 阻害剤により中耳粘膜肥厚の治療を可能にし、癒着性中耳炎等の回復不能な中耳疾患に対する治療を世界に先駆けて開発することである。
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今後の研究の推進方策 |
2 種のC57BL/6 マウス(Wild-type p38+/+,p38+/-)の側頭骨にHaemophilus influenzae105 個を注入し急性中耳炎を発症させる。光学顕微鏡、電子顕微鏡にて中耳粘膜肥厚の程度を観察する。Western blotting 法及び免疫組織化学法によりp38, phosphorylated p38の発現を確認する。 wild-type p38+/+, p38+/-にそれぞれ手術を施行し、右中耳にHaemophilus influenzae105 個を注入する。Haemophilus influenzaeに感染したマウス中耳粘膜を時間経過(1h, 3h、6h、24h, 48h, 72h, 5day, 7day)で8グループに分ける。対照はHaemophilus influenzaeではなくPBSを注入した左中耳を用いる。対照も時間経過(1h, 3h、6h、24h, 48h, 72h, 5day, 7day)で8グループに分ける。 時間経過(1h, 3h、6h、24h, 48, 72h, 5day, 7day)で8グループに分けた中耳粘膜を摘出して試料とする。組織は-80℃に保存し、一部はパラホルムアルデハイドで固定し、OCT compoundで包埋する。もう一方はグルタールアルデハイドで固定し、エポンに包埋する。それぞれの標本を光学顕微鏡、電子顕微鏡で解析する。
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