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2014 年度 実施状況報告書

内耳の選択的物質輸送機構に対する性ホルモンの影響

研究課題

研究課題/領域番号 26462570
研究機関東邦大学

研究代表者

鈴木 光也  東邦大学, 医学部, 教授 (50302724)

研究分担者 岩崎 真一  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10359606)
上羽 瑠美  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
坂本 幸士  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323548)
牛尾 宗貴  東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (70361483)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードエストロゲンα / エストロゲンβ / 蝸牛 / C57BL/6マウス / 卵巣摘出
研究実績の概要

血液-内耳関門に対する加齢の影響が明らかになってきたが、加齢に伴って減少する女性ホルモンの影響については考慮されていない。本研究目的は、内耳における選択的物質輸送機構に対する女性ホルモンの影響を明らかにすることである。まずは女性ホルモンの分泌状態によるエストロゲンの局在の変化を調べた。
実験には全身麻酔下に生後4週のC57BL/6 メスマウスを用いた。蝸牛、前庭に対するEstrogenの効果を調べるために、実験群(女性ホルモン欠損群)に対しては両側卵巣を摘出し、卵巣を摘出しないSham手術を施行した群をコントロールとした。手術施行後2週間、4週間において両側蝸牛を摘出し、右蝸牛は10%ホルマリン溶液で固定後、10%エチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液にて脱灰操作を行い、パラフィン包埋された。左蝸牛は摘出後ただちにRNAlater RNA Stabilization Reagent に浸漬し保存された。右蝸牛の蝸牛軸に沿って5 μmの厚さの切片を作成し、Estrogen receptor (ER) alpha、ER beta の局在を観察した。手術後2週間経過したマウスにおいては、コントロール群、実験群ともに血管条、内・外有毛細胞、ラセン神経節においてER alpha、ER beta の発現がみられ、両者の間に明らかな差はみられなかった。手術後4週間経過したマウスにおいては、コントロール群に比較してER alpha、ER beta の発現が弱く認められた。現在RT-PCR 法を用いて、手術後4週間経過した実験群とコントロール群の右蝸牛内のERαおよびERβのmRNA 発現解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究のゴールは、内耳における選択的物質輸送機構に対する女性ホルモンの影響を明らかにすることであるが、そのためには女性ホルモンの分泌の変化に伴うホルモン受容体の局在の変化を知る必要がある。本研究では女性ホルモン欠損マウスを作成し、蝸牛における女性ホルモン受容体の変化を正常マウスのそれと比較した。卵巣摘出手術を行う時期は、卵巣の成熟した生後4週例以降が適当であり、それ以前は摘出に難渋する例が見られた。卵巣摘出を安全かつ確実に遂行できる週齢を決定するのにやや時間を費やしたため、研究の進行具合は予定よりやや遅れている。しかしこれまでの研究で、手術後4週間経過した女性ホルモン欠損マウスにおいては、コントロール群に比較してER alpha、ER beta の発現が弱く認められた。これまで知られていない新たな変化で重要な知見である。

今後の研究の推進方策

現在RT-PCR 法を用いて、蝸牛におけるERαおよびERβのmRNA 発現解析を行っているが、次の工程では、コントロール群および女性ホルモン欠損マウスにおいて、蝸牛毛細血管基底膜の微細構造と陰性荷電の分布の変化を観察する。これによって蝸牛毛細血管の透過性に対する女性ホルモンの影響を明らかにできる。

次年度使用額が生じた理由

免疫染色による評価が継続していること、RT-PCR法による分析がまだ行われていないことから前年度までの支出は少なかった。研究手順の関係で透過型電子顕微鏡による観察の工程に入らなかったことも、支出が少なかった理由である。

次年度使用額の使用計画

免疫染色とRT-PCR法による評価を終了させ、透過型電子顕微鏡を用いて毛細血管基底膜の微細構造の変化と基底膜上の陰性荷電の変化の観察を行う。マウス、免疫染色などに使用する試薬など消耗品の購入、電子顕微鏡写真撮影の外注費用そして学会参加の旅費に使用する予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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