研究課題/領域番号 |
26462571
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
瀬尾 徹 近畿大学, 医学部, 准教授 (30258149)
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研究分担者 |
中川 誠司 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (70357614)
宮下 美恵 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (20460892) [辞退]
小林 孝光 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (20642888)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経科学 / 神経耳科学 / 聴覚医学 / 球形嚢 |
研究実績の概要 |
哺乳類において球形嚢は重力などの直線加速度の受容体であるが、魚類などの下等な生物では聴覚器官として機能することが知られている。近年、哺乳類においても球形嚢が聴覚器官として機能することが示唆されている。すなわちマウスの聴性驚愕反射(Acoustic Startle Response)は、不可聴音である低周波による遮蔽によって増強される(不可聴音によるASRの増強効果)。この現象は球形嚢の炭酸カルシウムの結晶に関連するとされるNADPH oxydase3遺伝子が無効化されたマウス(Nox3ノックアウトマウス)においては認められない。つまり不可聴音によるASRの増強効果は球形嚢機能に依存することが知られる。本研究は、ヒトを含めた哺乳類の球形嚢が聴覚器官として機能を究明する目的がある。 本年度は、聴力正常な健康成人における球形嚢の機能を評価する目的でVEMPの周波数応答を測定した。その結果、250Hzから4000HzにおけるVEMPの周波数応答のピークは低周波音(500Hzから700Hz)にあるものが多かった。さらに、高度感音難聴患者あるいは全聾患者においてVEMPが記録できるものがあった。一方で正常聴力者においてVEMPの異常を示すものも存在した。これらのことより、球形嚢の機能と聴覚とは関連しないと考えられる。ただしこれは可聴音聴力との関連についてであり、不可聴音とは乖離する可能性は否定できない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在まで実験用器材、材料の不足より動物実験は施行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後、可能な限り動物実験を遂行できるよう準備を行う。さらにヒトに対する研究は、不可聴音刺激の実施など刺激条件の調整が必要と考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在まで動物実験の遂行準備が遅れている。そのために必要機材や薬品の購入も遅れており、次年度使用額が生じた。また研究データが完成しておらず、発表のための旅費、論文作成のための英文校正費などにも次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、実験用機器、薬品の購入のための物品費、データ集計後の論文作成、学会発表などに充当する予定である。
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