研究課題/領域番号 |
26462571
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
瀬尾 徹 近畿大学, 医学部, 准教授 (30258149)
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研究分担者 |
中川 誠司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (70357614)
宮下 美恵 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (20460892) [辞退]
小林 孝光 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (20642888)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 球形嚢 / 聴覚違和感 / 難聴 |
研究実績の概要 |
球形嚢はヒトにおいて平衡器官として機能するが下等な生物では聴覚器官と指定機能する。めまいを有さない感音難聴患者の球形嚢の機能について前庭誘発筋電位(VEMP)を指標に検討した。感音難聴のも患者の13%にVEMPの異常が存在した。VEMPの異常は聴覚の異常の程度と相関はなかったので、球形嚢が直接聴力に影響をおよぼす可能性は少ないと考えられた。一方、これらの患者で難聴が回復した時点において耳閉感や耳の違和感は残存するものがあるが、これらのうちにもVEMPの異常を示すものが存在した。これらの症状は球形嚢由来の官能性が否定できないものの、VEMPの異常を示したものの60%において、利尿剤負荷後のVEMPの振幅が高進し、内リンパ水腫の存在が疑われた。過去に難聴を有する患者の耳の違和感については、かならずしも球形嚢由来とは断定できず、むしろ内リンパ水腫による軽度の蝸牛症状である可能性が否定できない。そこで、聴覚症状を伴わず耳閉感や耳の違和感のみを訴える患者のVEMPについても検討した。その結果、23%にVEMPを異常を認め、その半数で利尿剤負荷VEMPが陽性を示した。耳閉感や耳の違和感単独症状の12%程度には、半数は内リンパ水腫は存在せず球形嚢の単独障害の存在が示唆された。このような症例の違和感は球形嚢由来である可能性がある。以上のことから、球形嚢はヒトの聴力に明らかな影響は及ぼさないが、聴覚心理学的な異常感を誘発させる可能性が示唆された。
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