マウスにおいて3-nitropropionic acid(3-NP)による急性内耳エネルギー不全モデルを作成し、蝸牛内電位の低下が蝸牛有毛細胞、らせん神経節細胞に与える影響を検討した。3-NP投与によりマウス聴性脳幹誘発反応(ABR)閾値上昇が認められ、蝸牛内電位(endocochlear potential)を測定したところ、3-NP投与によって低下していることが明らかとなった。3-NP投与後2週間を超えると徐々に内有毛細胞、外有毛細胞およびらせん神経節細胞に細胞脱落が生じ、投与後3ヶ月となると高度の脱落が生じ、高音域の難聴を固定化させる要因となっていることが明らかとなった。
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