研究課題/領域番号 |
26462584
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
児玉 悟 大分大学, 医学部, 講師 (40325717)
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研究分担者 |
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
能美 希 大分大学, 医学部, 助教 (40468020) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経鼻ワクチン / 粘膜免疫 / 上気道 |
研究実績の概要 |
NKT細胞のリガンドであるalpha-GalCerを抗原とともに経鼻免疫することで、NKT細胞が活性化され、樹状細胞が成熟、活性化し、抗原特異的T細胞・B細胞が誘導され、特異的免疫応答が誘導される。さらに強力かつ効果的、持続的な免疫応答の誘導のために免疫プロトコールを検討し、長期間の経過観察を行うことを目的とした。さらにワクチン形態を工夫し。ドラッグデリバリーシステムを改良し、効果的なワクチン開発につなげることを目的とした。 抗原としてインフルエンザ菌P6や肺炎球菌PspAとともにalpha-GalCerをマウスに対して経鼻的に投与し、抗原特異的免疫応答についてELISA,ELISPOT法にて検討した。鼻粘膜からT細胞を分離、精製し、抗原特異的サイトカイン産生についてRT-PCRにて検討した。その結果、経鼻免疫により抗原特異的免疫応答が鼻粘膜および全身的にも誘導された。またフローサイトメトリーにより、鼻粘膜中にNKT細胞と成熟樹状細胞が増加していることが明らかとなり、同時にTh17細胞の関与が示唆された。経鼻ワクチン接種後に、生菌を接種した結果、生菌の排除が促進され、ワクチンの予防効果が明らかとなった。興味あることに抗原を用いずにalpha-GalCerのみ投与した場合でも、インフルエンザ菌や肺炎球菌の排除がある程度、促進された。この場合、中和抗体を用いてIL-17、IL-21を中和すると、排除効果が減弱したことより、上気道感染においてIL-17,IL-21の重要性が示唆された。 上記のような液体ワクチンに加えて、徐放性ゼラチンゲルにワクチン成分を含ませ、経鼻的にマウスに接種した。その結果、1回の投与で特異的免疫応答が誘導された。alpha-GalCerのワクチンアジュバンととしての有効性がさらに明らかになり、またドラッグデリバリーを工夫することで、ワクチンに臨床応用につながる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの結果をふまえ、さらに長期的な効果について検討した。これまでは免疫終了後1カ月までの効果しか検討できていなかったが、今年度はさらに6カ月までの効果が確認できた。ブースト効果については検討中である。 またワクチン形態を変え、ゼラチンゲルワクチンを作成した。ゼラチンゲルの配合が異なるとゲルが生体内でうまく徐放しなかったり、吸収されなかったりしたが、至適配合を決定後、ワクチンとして接種可能となった。このゼラチンゲルワクチンの効果を検討するとともに、ドラッグデリバリーシステムについて工夫する予定である。 これまでは細菌抗原を主としていたが、癌抗原を用いたワクチンの検討も行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ゼラチンゲルワクチン接種後の特異的免疫応答とその持続効果について検討する。ドラッグデリバリーシステムとして、これまで使用経験のあるISCOMに再着目し、alpha-GalCerとの相乗効果についても検討する。 細菌抗原以外の抗原として、癌抗原としてSurvivinを用いたワクチンを作成し、特異的免疫応答を誘導することで頭頸部癌に対して効果が期待できるかについても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験用チューブやプレートなどの消耗品および試薬の購入が当初の見込みよりも低価格かつ少なかったため
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次年度使用額の使用計画 |
抗体の種類を増やすため、試薬の購入に充てるほか、論文の出版費用に充てる
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備考 |
大分大学医学部 http://www.med.oita-u.ac.jp
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