研究課題
分子生物学の発展に伴い、新たな臨床的ブレイクスルーとして分子標的治療が注目され各種癌においてその有効性が明らかとなってきた。頭頸部癌においては、すでに上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor: EGFR)をターゲットとした治療が保険認可され、効果を上げている。しかし治療効果には個人差があり、従来の抗腫瘍薬同様に治療当初は感受性を示すものの、徐々に耐性化する症例があることもわかってきた。肺癌においてはEGFRのmutationの有無が分子標的治療の感受性に関わることが報告されたが、頭頸部癌においてはこれらの遺伝子変化はまれであり、症例選択における重要な因子とはならないことが我々の研究から明らかになっている。当研究者による網羅的トランスクリプトーム解析による多種類の頭頸部癌細胞株を用いた研究ではCetuximabに感受性を示す頭頸部癌細胞株はEGFRの発現が高く、de novoで耐性をもつ細胞株はEGFRパスウエイ以外のシグナル伝達機構にその増殖がよっていることが分かった。さらには上皮間葉転換によって、同一腫瘍内でのheterogeneityが出現していることも同定している。またさらにEGFRパスウエイの下流の中でこれまで頭頸部癌においてはその役割がはっきりしなかったAMAP1経路が予後に影響を与えることを報告している。今後は公開されているNIHのゲノム情報との対比も含めて発表していく。尚、平成28年度はRNA干渉、遺伝子組み込みによる当該分子の機能解析及び追加サンプルによるタンパク質発現再現性の確認と閾値の設定を実施した。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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