研究課題/領域番号 |
26462594
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
日高 浩史 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302103)
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研究分担者 |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 深頸部膿瘍 / 分子生物学 |
研究実績の概要 |
深頸部膿瘍は耳鼻咽喉科救急疾患の中でも気道狭窄や敗血症などの致死的な状況につながる重要な疾患であり、糖尿病の罹患によりその重症度が増すとされている。今回、過去の報告のシステマテックレビューを行いながら、深頸部膿瘍患者を前向き検討で糖尿病の有無による病態の違いを臨床的側面と細菌学的側面から検討した。その結果、糖尿病罹患例は非罹患例と比較し、①頸部の複数間隙への炎症、②気道狭窄など合併症の併発、③感染源が特定困難に関するリスク比が何れも有意に増大した。細菌学的には、Klebsiella pneumoniae が培養で検出される比率が有意に高かった。一方、Streptococcus属や嫌気性菌に関しては、各々の比率が有意に低く、両群の起因菌の分布には違いがあると考えられた(Hidaka et al, Hrad and Neck 2015)。 さらに深頸部膿瘍症例約130例を集積し、その膿瘍検体の培養に加え、次世代シークエンサーを用いて細菌の種類と割合を決定を試みた。その結果、抗生剤の選考投与で培養では同定できなかった例においても、PrevotellaやCampylobacer rectusを検出できた。後者に関しては、Journal of Infection and Chemotherapyにreivse中である。一方、深頸部膿瘍は複数の菌の混合感染であることも多く、それらを正確に同定する方法をさらに模索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膿瘍の場合、起炎菌が重複してる場合も多い。この際、解析がやや困難になことあり、鋭意、工夫をかさね、遂行を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
深頸部膿瘍患者の糖尿病の有無による病態の違いを臨床的側面と細菌学的側面から検討することで、適切な治療ガイドラインの確立のための知見を提唱をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
集積した検体は、ひつと一つ分析にかけるよりも、なるべく纏めた上で次世代シークエンサーで集中的に解析した方がrunning costの軽減が見込まれることが判明したため、今年はrunning costが当初予定していた額より少額となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
集積した検体を、次世代シークエンサーで集中的に解析する予定。 これらの経費として使用するとともに、これまで行った培養や16S-RNA解析の結果と比較検討する。
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