研究実績の概要 |
年間約2万人の新規発生があると考えられている頭頸部扁平上皮癌において、診断利用できる血清、唾液マーカーはない状態です。本研究においては、臨床還元可能な新規バイオマーカー検出のために、臨床サンプルと用いたトランスレーショナルリサーチにてマイクロRNA解析とくに質量分析計を用いた解析を行う研究です。本年度の結果は下記の通りでした。昨年度までに採取した臨床献体(倫理承認、同意取得した50例)を用い、本年度は、実際の解析を進めていきました。結果として、正常粘膜、頭頸部扁平上皮癌組織、血液を用いた検討にて、以下の結果を得ました。1、頭頸部扁平上皮癌組織、正常頭頸部粘膜組織からRNAを抽出し、マイクロRNAの精製を行った後、マイクロRNAアレイを行いました。結果として、miR21,miR200ファミリー(200b、c、141)を中心とした、一部新規頭頸部癌で高発現マイクロRNAを含むバイオマーカー候補マイクロRNAを抽出しました。2、Real time PCRを用い、これらの候補マイクロRNAを検証し、マイクロアレイの結果と違いがないことを確認しました。3、血清からエクソソーム内マイクロRNAを抽出し、これらのマイクロRNAが血清中に放出されているかと確認しました。4、質量分析計を用い、血清中の新規がん関連蛋白の検出を行いました。その結果、ガレクチン3結合蛋白など、新規性のあるバイオマーカーの検出に成功しました。
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