研究実績の概要 |
今年度、EBERsの解析に続き、in vitroでmiR-BART2-5p, miR-BART17-5p, miR-BART18-5pについて解析を行った。抽出したエクソソームからmiR-BART2-5pとmiR-BART18-5pが同定されるが、miR-BART17-5pは、エクソソーム中から同定されないことが判明した。ただし、培養液中からtotal RNAを検出した場合にはいずれのmiR-BARTも検出されることから、miR-BART2-5p、miR-BART18-5pはエクソソームを介して、一方、miR-BART17-5pはエクソソームを介さずに細胞から分泌されることが判明した。 上咽頭癌患者血清では、EBERsは20症例中の1例で検出できたのみであった。miR-BART2-5p、miR-BART17-5p、miR-BART18-5pは治療前の多くの症例で検出されたものの、治療後にmiR-BART17-5p、miR-BART18-5pが検出されるのは数例ずつであり、いずれも遺残症例や後に再発した症例のみであった。また、miR-BART17-5pについては腫瘍の著しい縮小にも関わらず、治療後に増加した症例も数例観られた。 以上、miR-BARTsのうち、特にmiR-BART17-5pについて興味深い知見が得られた。今後は、これらのmiR-BARTsの機能解析のみならず、1)その分泌機構や2)化学放射線療法後の遺残腫瘍細胞のエクソソーム分泌型から非エクソソーム分泌型への形質転換にも着目して、当初の目標を維持しつつ研究を続けていく。
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