研究課題
昨年度に続き、上咽頭癌細胞から分泌されるEBV関連RNA、特にBART-miRNAsに関する解析を行った。本年度は、miR-BART17-5p, 2-5p, 18-5pについて、in vitroの系でC666.1を引き続き用いて解析を行った。miR-BART17-5pはやはりエクソソームを介した分泌がされないことが確認され、さらにArgonaute 2(AGO2)蛋白と結合した全く別の機序で細胞外に分泌されることが判明した。さらに、Cisplatin抵抗性のC666.1細胞を樹立し、上記3つのBART-miRNAsについて親細胞株との1)細胞内での発現、2)細胞外への分泌、などの分泌プロフィールの変化を検討した。その結果、miR-BART2-5pの発現・分泌の変化はなく、miR-BART18-5pの発現量は減少することが判明した。一方、AGO2と結合して分泌されるmiR-BART17-5pはCisplatin抵抗性C666.1細胞で発現・分泌ともに著しく増加し、miR-BART17-5pが化学療法抵抗性に関与することが示唆された。今後、miR-BART17-5pの機能解析を行う必要がある。miR-BART17-5pを標的とした治療用エクソソームの開発が、化学療法耐性細胞の根絶、さらには癌幹細胞の根絶をすることができる可能性がある。患者血清中でも腫瘍遺残・再発症例の治療後血清中では高率にmiR-BART17-5pが検出され、腫瘍マーカーとしての意義も今後、検討する必要がある。
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