研究課題/領域番号 |
26462598
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
室野 重之 金沢大学, 医学系, 准教授 (20345622)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 喉頭乳頭腫 / HPV |
研究実績の概要 |
喉頭乳頭腫の培養細胞モデルの作成のため、以下の3条件を設定して、手術により採取し細切した組織を培養シャーレに接着させた。(1)培養シャーレに細切組織を直接置き、培養液で被覆した。(2)培養シャーレに細切組織を直接置き、コラーゲンゲルで覆った後に、培養液で被覆した。(3)細切組織を培養シャーレにおいてコラーゲンゲル内に包埋し、培養液で被覆した。 (1)および(3)では乳頭腫細胞の増殖を認めなかったが、(2)では細切組織の周囲に上皮細胞の増殖を認め、乳頭腫細胞と考えられた。したがって、喉頭乳頭腫組織からの初代培養では、(2)の方法が最適と考えられた。続いて、(2)においてコラゲナーゼにより被覆したコラーゲンを分解した後、トリプシンを用いて増殖した細胞をはがし、新たにシャーレに培養を開始したが、この時点で増殖が確認できていない。 摘出した腫瘍組織11標本における研究も平行して開始した。免疫染色は未施行だがヘマトキシリン・エオジン染色により、腫瘍のコアに毛細血管が進展していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
培養細胞モデルの作成を予定したが、達成できていない。そのため、EGFRシグナル系の活性化の検証ができていない。当初は、コラーゲンゲル内に組織を包埋していたが、細胞の増殖は得られなかった。このモデルの作成のノウハウを獲得するため、平成26年10月に米国ニューヨーク州にあるFeinstein Institute for Medical ResearchのDr. Steinbergのラボを訪問し、その手法ならびに試薬の調整等の視察を行った。獲得した方法はコラーゲンゲル下に組織を埋めるものであり、これにより細胞の増殖は確認できた。しかし、二代目への継代後の増殖が得られず、研究が進んでいない状態である。 培養細胞モデルの作成が遅れているため、当初平成27年度以降に予定していた、摘出した腫瘍組織における研究も平行して施行すべく開始した。11標本の免疫染色用切片を準備した。
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今後の研究の推進方策 |
Feinstein Institute for Medical ResearchのDr. Steinbergのラボと連携を密にし、喉頭乳頭腫培養細胞モデルの確率を急ぐ。その上で、当初の予定どおり、(1)EGFRシグナル系の活性化をウェスタンブロットにより検証し、(2)EGFR抗体処理による増殖ならびにシグナル伝達系印紙の変化の検討を行う。さらに、(3)血管内皮細胞との共培養による血管新生の有無を観察する。(4)そのメカニズムの一つとしてVEGFの発現を検討するとともにVEGF抗体で細胞を処理し血管新生の抑制の有無を観察する。(5)摘出した腫瘍組織を用いた免疫染色をEGFRシグナル系および血管新生因子に着目して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定額に加え平成27年度分の一部を前倒しで使用した。そのため、次年度使用額として残余することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
前倒しした平成27年度分の残余額であるため、当初予定した平成27年度の研究に使用する。
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