研究課題
320列多面CTを用いた嚥下評価システム構築として、倫理審査を経て正常ボランテイアの検討を行った。嚥下運動中の舌根運動、喉頭挙上、声門閉鎖等の立体画像の構築法を検討すると、これまでの側面透視画像では評価しえなかった角度からの観察が可能となった。並行して中咽頭側壁癌治療後の嚥下機能について前向きな評価を行った。中咽頭側壁癌は進行がんであっても化学放射線治療によって治癒せしめることが可能な場合が多いが、一方では化学放射線治療の有害事象としての急性期咽頭炎や嚥下障害が問題隣、胃瘻栄養を要することが多い。また、晩期合併症として舌根や咽頭後壁の嚥下関連筋群の線維化による筋力低下や咽頭・喉頭粘膜の知覚鈍麻をきたし、ときに嚥下性肺炎等を発症することが問題となっている。手術治療においては側壁再建時の咽頭形成術や舌根部逢着法の改善により、ほぼ全ての症例で経口摂取可能となっている。早期癌における経口切除術症例も増加しているが、切除範囲が軟口蓋、口蓋垂に及ぶと鼻咽腔閉鎖不全を後遺することがわかった。嚥下造影の評価としては咽頭残留の程度と誤嚥状況の2項目から点数化する簡易評価法を提案し、多施設共同研究を実施しているが、その妥当性と信頼性が実証されつつある。今年度の計画では、320列多面CTで計測した嚥下効率と嚥下造影の簡易評価における咽頭残留の評価法との関連性についても検討する予定である。
3: やや遅れている
倫理審査への申請および審査に時間がかかったことに加え、共同研究を開始した医師の産休が重なり進捗が遅れている。
咽頭癌治療後の嚥下動態を320列多面CTにて定量的解析を症例を増やし検討する。化学放射線治療後症例と経口切除症例、咽頭側壁再建症例の解析を進めるが、特に舌根運動の左右差や咽頭収縮との効率、残留率について実測し、簡易評価法との関連性を検討する。訓練方法の検討についても準備する。具体的には舌骨挙上運動を促通する手技として嚥下おでこ体操(杉浦法および岩田法)の即時効果を検証する計画を準備中である。側壁癌症例にとどまらず頸部食道癌、下咽頭癌の喉頭温存手術症例を対象に研究計画を申請する予定である。
米国のDysphagia Research Society出席予算として計画していたが、出張を中止したため。
成果発表を目的として、Europeansociety of swallowing disorders、およびDysphagia reserch societyへの出張の他、計測ソフトウエアの更新を予定している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
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