研究課題/領域番号 |
26462601
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤本 保志 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40344337)
|
研究分担者 |
岩野 信吾 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90335034)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 頭頸部癌 / 嚥下障害 / 機能再建 / 機能評価 / 舌根後方運動 / 鼻咽腔閉鎖 |
研究実績の概要 |
中咽頭側壁癌症例12例(手術治療8例、化学放射線治療4例)の嚥下機能について検討した。治療終了後、10例は治療終了時に経口摂取が自立しており、経口摂取が不可能なままであるのは2例のみで化学放射線治療後であった。1例は側壁癌深部浸潤例で、癌の浸潤があった軟口蓋や翼突筋群が治療後に線維化し、高度の鼻咽腔閉鎖不全、開口制限、舌根萎縮をみとめた。2年を経て胃瘻栄養を継続している。1例は舌根癌であるが腫瘍は舌根の3/4に浸潤をしていたが化学放射線治療でCRとなったが高度の舌根萎縮、咽頭蠕動様運動の減弱に加えて、高度の食道入口部開大不全を認めていた。本症例は治療終了後1年半後に全身麻酔下に輪状咽頭筋切除術をおこない、経口摂取可能となった。 手術症例10例は全例、常食を摂取していた。下顎離断および遊離組織移植再建を要した6例は経口切除のみおこなった4例に比較すると経口摂取獲得までの期間は長かった。舌根と咽頭後壁の縫縮、jehanno法による上咽頭形成が有効であったと考えている。一方で、経口切除のみの症例では経口摂取再開までの期間は短いものの、造影検査を行うと、鼻咽腔閉鎖不全による逆流や、咽頭クリアランス低下が時にみられ、嚥下効率の点からは拡大切除・再建より劣る症例も見られた。 嚥下造影検査の評価としては舌根ー咽頭後壁距離、鼻咽腔閉鎖の程度がもっとも嚥下効率に関連すると思われた。 機能温存治療としての縮小手術、化学放射線治療後であっても、嚥下機能障害はむしろ重症化するおそれがあることが示されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究者の産休、異動なども影響して研究進捗が遅れていたが、研究協力者がととのい最終年度は平成28年度であったが、平成29年度まで延長の手続きをとった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度までの研究期間延長を申請した。中咽頭癌(側壁癌)の再建方法の違いによる舌根運動の違い、舌根運動の左右差の解析、咽頭収縮との関連を検討する。訓練手技として、嚥下おでこ体操の即時効果検証を準備した。研究計画を変更し、リハビリテーション部との共同研究を追加する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れ、2016年3月米国でのDysphagia Reseach Society出席を中止した。
|
次年度使用額の使用計画 |
320列CTによる側壁癌切除再建例と非再建例、放射線治療例との比較について、また、訓練手技の即時効果についての検討を発表する。成果発表を目的として、2017年度のDysphagia Reseach Societyへの出張を予定している。
|