研究課題
中咽頭側壁癌症例12例の嚥下機能について検討した前年までの結果を踏まえて嚥下動態の動的解析を行った.治療終了後10例は経口摂取が自立しており、経口摂取が不可能だった2例は化学放射線治療後であった。1例は側壁癌深部浸潤例で、癌の浸潤のあった軟口蓋や翼突筋群が治療後に線維化,瘢痕化したために高度の鼻咽腔閉鎖不全、開口制限,舌根萎縮を認めた.3年を経て胃瘻に依存しているが、経口摂取量は漸増してきている。舌根癌にて胃瘻に依存していた化学放射線治療後症例は輪状咽頭筋切断術をうけたのちに経口摂取可能となった。その後再発もなく、胃瘻を抜去できている。手術・再建症例の検討においては、残存舌根と咽頭側壁の縫い上げ法とGehanno法との併用によって、嚥下運動時の咽頭収縮が得られ、有効な嚥下圧が形成されていることが予測されたが、実際の画像解析によってもpharyngeal constrictor ratioの改善として表現された。全例で経口摂取可能となった。鼻咽腔縫合不全を来した症例では創傷治癒遅延と鼻咽腔逆流のために経口摂取開始が遅れたが、他の症例では特別な嚥下訓練期間を要しなかった。中咽頭収縮の左右差について観察すると、側壁の再建皮弁の厚みがあるほうが舌根咽頭後壁距離が長くなる傾向にあり、再建皮弁の選択においては、舌根咽頭後壁縫合が十分にできる場合には薄い皮弁の優位性が示唆される結果となった。化学放射線治療による舌根の萎縮症例においても舌根後壁距離,中咽頭腔断面積は咽頭収縮力、咽頭クリアランスと関連があることが示唆された。今回の研究期間において、中咽頭再建法の課題が明らかになったが320列多面CTを用いた解析数がすくないために明快な結果に至っていない.今後,高密度嚥下圧測定結果との比較検討と嚥下造影簡易評価との比較を計画している。
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Journal of Clinical Ultrasound
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