研究課題/領域番号 |
26462606
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
原 浩貴 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90274167)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | いびき / 3次元CT / 音響解析 |
研究実績の概要 |
睡眠呼吸障害は、いびき・睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠時の呼吸異常を包括する 病態である。治療の基本は経鼻的持続陽圧 呼吸とされてきたが、対症療法にすぎず、根治療法として手術を希望する患者が多い。手術成功の鍵は、睡眠中の上気道閉塞部位の把 握であるが、未だ世界基準となる評価法は確立されていない。本研究では、いびき音の音響解析を 軸とした世界基準となる上気道閉 塞部位診断を確立するために、3D-CT の DICOM データを元に立体モデルを作成し、検証を行う。 本研究の概要は、いびき・睡眠呼吸障害のある患者について、1)いびきの音響特性 2)覚醒時の3次元CTによる呼吸様式毎の上気道 形態 3)流体解析 4)立体モデル 作成 の 4 つの項目を組み合わせて、世界的に使用できる上気道形態評価を試みることである。 本年度は昨年度に引き続き詳細な流体解析を行い、鼻呼吸時および口呼吸時の上気道閉塞部位といびきの音響特性について明らかにするため、CTの撮影条件の変更、および撮影した CT の DICOM データをもとに上気道3次元構築像からSTIデータを作成する際の副鼻腔への気流の除外方法、口呼吸時の軟口蓋部分のデータ処理の工夫を行いつつ研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度に引き続き詳細な流体解析を行い、鼻呼吸時および口呼吸時の上気道閉塞部位といびきの音響特性について明らかにするため、CTの撮影条件の変更、および撮影した CT の DICOM データをもとに上気道3次元構築像からSTIデータを作成する際の副鼻腔への気流の除外方法、口呼吸時の軟口蓋部分のデータ処理の工夫を行った。また立体モデルの作成では、当初軟部組織部分は柔らかい素材で作成することで呼吸器を接続した場合に模擬いびきが発生するようにし、閉塞部位を適宜変化させながら音響解析を行い実際のいびきと音響学的に一致するかどうか確認する予定であったが、軟部組織の立体モデルの作成には当初の予想よりもより時間とコストがかかることから、立体モデルの作成方法を改変し、STIデータから、有限要素法解析による3次元気道モデルを作成することとした。この方法でモデルを作成した場合、コンピュータシミュレーション法にて音源と想定される位置を音響加振し、気道の形状違い、音源位置の違いによる音の違いを解析できることが明らかとなった。この結果、実際の立体モデルを作成する場合と同等か、より理論的に気道の形状の変化や、いびきの音源の違いによるいびき音の違いを解析できる可能性が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として、CT の DICOM データをもとに上気道3次元構築像からSTIデータを作成し、有限要素法解析による3次元気道モデルを作成する。コンピュータシミュレーション法にて、鼻呼吸、口呼吸時にいびきの音源と想定される位置を音響加振し、発生する音の違いを解析し、この結果と、実際の鼻呼吸時および口呼吸時に発生するいびき音の相関性を分析し、国内外を問わず使用できる上気道形態評価法として値するかどうかを明らかにする。研究結果は国際誌へ発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
精密な立体モデル作成のための、CTの撮影条件の設定変更、および撮影した CT の DICOM データをもとに上気道3次元構築像からSTIデータを作成する際の副鼻腔への気流の除外方法、口呼吸時の軟口蓋部分のデータ処理の工夫などに時間を要し、業者への立体モデル発注に至らなかったため。またSTIデータから、有限要素法解析による3次元気道モデルを作成することが可能かどうかの検証をおこなったが、こちらも業者へのモデル発注には至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
立体モデルの作成方法を改変し、STIデータから、有限要素法解析による3次元気道モデルを外注作成する。この方法で呼吸様式による気道の形状の変化モデルを作成し、コンピュータシミュレーション法にて音源と想定される位置を音響加振し、音源位置の違いによる音の違いを解析する。この解析結果と実際のいびき音の相関性を明らかにする。
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