研究課題/領域番号 |
26462612
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
喜友名 朝則 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (10433103)
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研究分担者 |
鈴木 幹男 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00226557)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 痙攣性発声障害 / fMRI / 安静時fMRI / functional connectivity |
研究実績の概要 |
最終年度はこれまで蓄積したデータを解析し、論文を作成し、医学雑誌(Journal of voice)へ投稿、掲載された。その内容としては、琉球大学耳鼻咽喉科を受診し内転型痙攣性発声障害と診断された12例(全例女性、平均年齢34.3歳)と健常者(全例女性、平均年齢34.3歳)と比較し、fMRIを用いて数字呼称課題負荷による課題関連型fMRI及び発声課題のない安静時機能的脳結合に関して検討を行った。また症状の程度、病悩期間と機能的脳結合の関連についても検討した。その結果、これまでの報告よりも話し言葉に近く症状が出ると考えられる5桁の数字の読み上げ課題による課題関連型fMRIによる実験では、中側頭回、視床、一次運動野、運動前野、一次体性感覚野、島、小脳(脊髄小脳)、大脳基底核(被殻)、補足運動野など多くの領域で強い賦活を健常群と比較して認めた。課題を用いない安静時の機能的脳結合による実験では、視床と大脳基底核(尾状殻)で、有意に高い機能的脳結合を認め、さらにこれらは症状の重症度と相関した。これらの結果から小脳-視床-基底核-皮質ネットワーク内の異常が推定された。また、特に島と小脳は以前の研究と一致して健常者と比較し強い脳活動を認め、SDに特徴的と考えられた。SDにおける安静時fMRIによる研究はこれまで報告がなく、初めての報告である。安静時の機能的脳結合では視床と基底核の機能的脳結合の増加を認め、基底核ネットワークでの異常がSDの病態と考えられた。機能的脳結合の増加、減少のパターンは局所ジストニアの書痙とは異なっていたが、基底核ネットワークの異常であることは共通しており同様な疾患であると考えられた。SD患者は時に抑うつ状態、不安状態を示すことがあり心因的な疾患ととらえる報告もこれまでみられたが、本研究から脳機能異常による神経疾患(局所ジストニア)であることが裏付けられた。
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