研究課題/領域番号 |
26462620
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
金澤 丈治 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20336374)
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研究分担者 |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 教授 (20311938)
三澤 清 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90334979)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 分子標的治療薬 / GPCR / アポトーシス |
研究実績の概要 |
本研究は,頭頸部癌の癌抑制遺伝子として知られるGalanin受容体2型(GALR2)を標的分子とする頭頸部癌への新規治療薬の開発を目標とする.申請者らはこれまで, GALR2が頭頸部癌細胞に強力なアポトーシスを誘導することを見出した.更に,ウイルスベクターによる生体への遺伝子導入法も確立した.現在の分子標的治療薬はセツキシマブのように受容体型チロシンキナーゼを標的とするものであるが, 近年,GALR2のようなG蛋白共役受容体(GPCR)を標的とする分子標的治療薬も開発されるようになった.GALR2は,情報伝達経路が多彩で,遺伝子変異が多い頭頸部癌治療に適した分子標的である.また,セツキシマブの標的分子である上皮成長因子受容体(EGFR)との共通の情報伝達経路も多く,セツキシマブ耐性を克服する機序に関連することが示唆されている.このためGALR2を標的とする治療薬の開発は新たな頭頸部癌分子標的治療の進歩に大きく寄与するものと思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GALR2を発現するプラスミドを作成し頭頸部癌細胞に導入することができた.更に,遺伝子導入による細胞増殖の抑制効果も確認できた.現在,GALR2遺伝子導入による放射線感受性,抗がん剤,特にセツキシマブに対する感受性の変化を検討中であるが,明確な結論を得るに至っていない.更に.GALR2特異的リガンドによる殺細胞効果に関する検討も現在検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
現在行っているGALR2導入後の放射線,抗がん剤に対する感受性の変化について早急に結論を出すとともに.予備実験で認められたGALR2特異的リガンドであるGalanin-Like-Peptide (GALP)の効果について,経時的および経濃度的に検討する.これに加えてM1145,やM1153のような他のGALR2特異的アゴニストに関してもできるだけ多数検討する.GALR2は,Galanin刺激ではMAPキナーゼ経路およびPI3K/Akt経路に関連するが効果の強いアゴニストを選択した後,これらの刺激によるJAK-STAT経路,MAPキナーゼ経路およびPI3K/Akt経路などの変化を検討し,GALR2特異的アゴニストが通常のGalanin刺激と異なる点を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に必要な消耗品であるプラスチック器具や培養液の消費が少なく抑えられたこと.発現プラスミドの構築が予想より順調であったため.
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次年度使用額の使用計画 |
今後は,アゴニストごとの殺細胞効果や放射線感受性や抗がん剤感受性を検討する予定である.これに伴い消耗品の使用量も増加することが予想される.
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