研究課題
頭頸部癌幹細胞の表面マーカーをCD44+CD133+と仮定し研究を開始した。CD44+CD133+を細胞表面マーカーとしたのは過去の報告を参考にして決定した。過去の報告では頭頸部癌細胞株を用いて研究報告がされていた。そのため当科で保有する頭頸部扁平上皮癌細胞株を用いてフローサイトメトリーで細胞分離を行なった。ところが当科で保有する7癌細胞株の細胞はCD44+だがCD133ーであった。細胞株として樹立された癌細胞は一定の培養条件に増殖が可能な一様の癌細胞であり多様性にかけるため癌幹細胞としての生物学的特徴を失ったものではないかと推測した。培養条件などを変更した場合にはこれらの癌細胞が癌幹細胞としての生物学的活性を再獲得する可能性があるが、その探求は別の研究で行う方針とした。次に実際の患者さんの手術標本より試料を採取し検討を行なった。この研究は自治医科大学附属病院臨床研究第臨A14-094及び第臨A14-210として認可を受けて行なった。手術標本の癌組織をフローサイトメトリーで細胞分離を行なった。まず2試料(舌癌)ではCD44+CD133ー、1試料(咽頭癌)ではCD44+CD133+細胞がごく少数認められるのみであった。当初想定したCD44+CD133+細胞の回収が悪かった。このまま継続した場合には研究成果が得られないと判断し、癌幹細胞の表面マーカーを変えることとした。他の論文を参考にCD44v+ALDH1A1+を癌幹細胞の表面マーカーと想定し、7試料(舌癌、咽頭癌)にフローサイトメトリーで細胞分離を行なった。するとCD44v+ALDH1A1+細胞を安定して分離することができた。安定して分離できているCD44v+ALDH1A1+細胞の増殖能と浸潤能を現在検討している。
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J Oral Maxillofac Surg
巻: 1 ページ: e1-e6
小児耳鼻
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