研究課題/領域番号 |
26462623
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小澤 宏之 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30327621)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 低酸素応答因子 / 転移 |
研究実績の概要 |
頭頸部癌の転移は予後不良因子の一つであり、そのメカニズムを解明し治療方法を開発することが必要不可欠である。癌の転移は複数のステップからなり、癌細胞は様々な遺伝子発現を調整し転移病巣を形成している。低酸素応答因子(HIF1-α)は低酸素下で細胞内に蓄積し、核内に移行することで低酸素下での細胞生存に関わる様々な転写因子の発現を行うだけでなく、血管新生因子を発現することで癌細胞の転移にも関わっている。頭頸部癌のリンパ節転移の形成にHIF1-αが関わるメカニズムを究明することで、HIF1-α抑制を介した転移抑制治療の可能性を追求するのが本研究の目的である。 これまで我々は頭頸部癌細胞株のFaDu細胞をマウスの舌粘膜に移植し、頸部転移を生じる同所移植モデルを確立した。このモデルの舌腫瘍および転移リンパ節におけるmRNA発現について、RNA-seq法で遺伝子発現解析を行った結果、転移リンパ節において、HIF1-αに関連する遺伝子発現増加を認めた。そこで、慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科において過去に手術を行い、5年以上経過した早期舌癌24症例のホルマリン固定標本を用いてHIF1-αの発現を検討したところ、後発性リンパ節転移を生じた症例ではHIF1-α発現の核内での増加を認め、HIF1-αが臨床検体においても転移に関わっていることが示された。 また、頭頸部癌細胞株にHIF1-α阻害薬であるKC7F2を投与したところ、濃度依存性に増殖率が抑制された。またKC7F2投与後の細胞からmRNAを抽出し、Real time PCR法で遺伝子発現を評価したところ、上皮間葉転換に関わるTWISTの発現の低下、およびE-CADHERINの発現増加をみとめた。また幹細胞形質に関わるNanogやOct3/4の発現低下が生じることがわかった。 これらの遺伝子発現は頭頸部癌転移形成に関わっていることが推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の解析、in vivoモデルの解析の大部分が終了している。またin vitroの解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在はHIF1-αノックダウン細胞を作成中で、この細胞によるin vitroでの機能解析および、動物モデルでの評価を行うことで、HIF1-αと頭頸部癌転移との関連性に着いて十分な検討が行える。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の順序を変えたことが次年度繰越が生じた理由である。当初はHIF1-αノックダウン細胞株の作成および解析をH27年度から開始する予定で、そのための費用を確保していたが、これらの実験をH28年度に行うこととした。替わりにHIF1-α阻害薬を用いた解析をH27年度に行った。ノックダウン細胞株の解析にかかる費用が高額のため、結果として一部分の予算をH28年に繰り越しすることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
複数の頭頸部癌細胞株をもちいてHIF1-αノックダウンを行う。作成された細胞の期の解析および動物モデルを用いた転移形成の検討を行う。
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