研究課題/領域番号 |
26462625
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
小川 徹也 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40334940)
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研究分担者 |
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60109759)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 |
研究実績の概要 |
平成27年度では以下のような研究を進め、様々な結果を得ることができた。これまで使用しているミシガン大学より供与を受けているヒト頭頸部扁平上皮がん細胞株のシスプラチン感受性株、その獲得耐性株、自然耐性株、また5-FU獲得耐性株を用い、抽出したタンパクをiTRAQ®と新しいタンデムマス(LC-MS/MS:Triple TOF5600,174;)を使用した網羅的解析を行った。その結果耐性に関与しているタンパクを同定することが出来ている。また本年度は上記感受性規定タンパクに加え、マイクロアレイを用いmRNAレベルにおける感受性規定遺伝子の探索を行った。我々の使用したシスプラチンあるいは5FU耐性細胞株を用い、市販マイクロアレイチップ(Agilent Technologies)を用い、mRNAレベルからの網羅的解析を行った。これまでのタンパクレベルから得られた結果を、このマイクロアレイチップ、mRNAレベルからの網羅的解析結果と擦り合わせることで、更に精度高い抗がん薬感受性因子を選択することが出来た。CDDP特異的感受性規定因子としてS100A2、多剤耐性化規定因子としてBASP1(Brain acid soluble protein 1)を同定した。S100A2は癌の悪性度との関連も指摘されており、またBASP1は様々な組織における分化誘導と関連する報告もあり、精査を行っている。具体的にはシスプラチン感受性株、その獲得耐性株、自然耐性株、また5-FU獲得耐性株を、siRNAを使用し機能解析を行い、それぞれCDDP耐性あるいは多剤耐性に特異的に関与するタンパクであるかを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の予定を鑑みて、概ね問題なく進んでいると思われる。iTRAQ174;と新しいタンデムマス(LC-MS/MS:Triple TOF5600,174;)を使用した網羅的解析を行うことと、マイクロアレイチップ(Agilent Technologies)を用い、mRNAレベルからの網羅的解析を行った結果は精度高いものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
我々は頭頸部がん症例に対しての導入化学療法の実際の効果をデータとして蓄積しております。これら実際の抗がん薬治療の反応性結果と、上記免疫染色で得られた結果とのすり合わせを行います。タンパクレベルから網羅的に同定したこれらタンパクの発現と、実際の臨床における効果との関連、すなわち臨床データとのすり合わせを行い、より精度の高い候補タンパクの選定を目指します。これは愛知医科大学倫理審査委員会承認済みであります。また得られたタンパクを使用し、これらの同定されたタンパクを用い、臨床応用可能な抗がん薬感受性診断法を確立します。方法としては新しいタンパクレベルからの簡易キット、もしくはこれら研究で得られた抗がん薬感受性関連因子を網羅した、マイクロアレイチップの開発を行います。以上を遂行し、本研究期間内で、より精度の高い頭頸部がん抗がん薬感受性規定因子探索キットを開発することを目標とします。最終的に、実際の臨床応用可能となるべく診断法の開発を目指します。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究では、タンパク解析とマイクロアレイ解析を繰り返すことで実験の精度を高め、因子を同定できた。使用額としては主に消耗品としての上記研究に関するものであったゆえ、使用額に差が出ることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
同定した因子を精査することで、多くの実験試薬が必要となる。それゆえ今年度差が生じた額を使用させて頂きたいと考えている。
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