研究課題/領域番号 |
26462628
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 栄一 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80422046)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 内在性分泌型 AGEs 受容体 / ペントシジン / 糖尿病網膜症 / 加齢黄斑変性 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、平成26年度に引き続き、2型糖尿病患者と非糖尿病者を対象に、Advanced glycation endo products(AGEs)の一つであるペントシジンの血中濃度と、血中の内在性分泌型AGEs受容体(esRAGE )量を(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay 法)ELISA 法で測定し、網膜血流との関係の解析を目標とした。更に、他の疾患である加齢黄斑変性患者のペントシジンの血中濃度と、血中のesRAGE量をELISA 法で測定し,加齢黄斑変性(AMD)との関連性を検討した。 研究の成果 2型糖尿病患者の血中ペントシジン濃度と網膜血流の関係を検討した。網膜循環測定 は、レーザードップラ眼底血流計を用い、PulsatilityRatioを算出し、血管壁硬化の指標とした。Pusatility ratioと、血中ペントシジンは網膜症あり群が有意に高値であ った(p<0.05)。血中ペントシジンが高値であるほどPusatility ratioが高値であった。これらの結果からペントシジンが高値ほど 、血管壁硬化が進行し、糖尿病網膜症発症・進行に関与することが推測された。 滲出型 AMD患者31名(典型AMD10名、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)患者21名)、非AMD(コントロール)15名を対象とし、ペントシジンと、esRAGEの血中濃度をELISA法で測定した。 典型AMDの血中ペントシジン濃度(0.125 ± 0.0210 µg/mL;平均±標準偏差) は、コントロール (0.0245 ± 0.0153 µg/mL) 、PCV 患者(0.0221 ± 0.0202 µg/mL)に比べ有意に高値であった(P<0.05)。血中 esRAGE 濃度は、PCV患者 (0.177 ± 0.0991 ng/mL)で低い傾向であったが、 コントロール(0.241 ± 0.0918 ng/mL) 、典型AMD (0.259 ± 0.134 ng/mL)の3群間に有意差を認めなかった(P=0.08)。 血中ペントシジンは、典型AMDに病因の関与する可能が示唆さたが、血中esRAGEは、滲出型AMDの病因への関与は低いと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27度は、加齢黄斑変性患者の追加研究を行ったが、糖尿病網膜症患者の研究が大幅に遅れた。その理由の一つは、外来の多忙さ、が挙げられる。測定した全患者は外来患者であり、多忙な外来診療 の中では十分に患者様に研究の説明、同意を得るための時間がもてなかった。今後は、外来診療日とは別に研究日を設け、ゆとりをも って患者さんのリクルート、研究推進ができるようにしていく。
|
今後の研究の推進方策 |
esRAGEは、網膜循環を改善させ、網膜症発症・進展予防に関与しているか?。また、esRAGE の増加作用をもつ薬剤投与により、網膜 循環にどう影響を及ぼし、網膜症の発症・進展抑制に関与するか?を明らかにしていく。 これらを明らかにすることによりAGEs-RAGE の網膜循環への影響 を解明の手がかりとなり、糖尿病網膜症の発症予防、治療法開発の 一助になると考える。 この遂行のため、糖尿病内科にも協力を要請していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ペントシジンとesRAGEの抗体キットは既に所持していたため、平成27年度は購入しなくても済んだため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ペントシジンとesRAGEの抗体キットを購入する。 また、学会発表の旅費、論文投稿料に使用する計画である。
|