研究課題/領域番号 |
26462629
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
國方 彦志 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40361092)
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研究分担者 |
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 助教 (10447162)
田中 佑治 独立行政法人理化学研究所, 情報基盤センター 予防医療・ゲノミクス応用開発ユニット, 研究員 (40625513)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パルスジェット / 硝子体手術 / 網膜静脈閉塞症 |
研究実績の概要 |
眼科以外の分野では、液体ジェットメスで臓器切開・破砕が可能であり既に臨床応用されており、200μm程度の細血管を温存可能であることが知られている。パルスジェットメスはその長所を生かしつつ、液体ジェットメスと比較して極少量の水のみを必要とし、網膜大血管を温存できることが予測されるため、網膜静脈閉塞部血管を温存しながらマッサージできるデバイスを考案する。まずは、パルスジェットデバイス網膜硝子体手術への臨床応用に向け、デバイスのマイクロ化を行い、眼科専用デバイスの作成に成功した。30ゲージニードルから実際にパルスジェット波形が水中で確認できた。網膜硝子体手術は6mlほどの閉鎖空間で行う手術であり、眼圧上昇を引き起こさない程度の流量を決定することが必要不可欠である。ウサギ生体正常眼を用いて眼内手術中の眼圧を評価し、0.05ml/minではジェット噴射開始1分で眼圧40mmHg以上を記録したが、0.025ml/minではジェット噴射開始3分で眼圧40mmHg未満であった。よって、眼圧上昇が生じない安全な流量は、0.025ml/minであることが明らかになった。また、脆弱な網膜組織の損傷をきたさない程度の出力で網膜血管を適切にマッサージし厳密に制御することが重要であるため、周波数・距離・出力を含めた安全な使用条件の検証を行った。検討を重ね、網膜出血や網膜裂孔を生じずに血管内血液をマッサージで移動可能である最も効率的な周波数、パワー、距離は、それぞれ順に、10Hz、40V、0.5 mmであることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルスジェットデバイスの眼科応用に向け、デバイスのマイクロ化、正常眼を用いた安全な使用条件の検証、病態モデルを用いた有効性試験をほぼ行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
血管外からの血栓刺激用に試作したマイクロデバイス(マッサージデバイス)の安全な使用条件の検証を行ったが、パルスジェット噴射を行った組織を摘出し、血管壁やその周囲組織の損傷具合を含め詳細に検証する。網膜血管閉塞動物モデルの構築、血管内手術用マイクロデバイス(カニュレーションデバイス)の試作を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画のうち、(1-1)摘出網膜および正常動物生体眼を用いた有効性の検証 に関して、正常動物生体眼において条件検討を非常に効率よく進めることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年、28年度において、(1-2)網膜血管閉塞モデルの構築、(1-3)カニュレーションデバイスの開発、(2-1)摘出網膜、正常動物眼を用いたカニュレーションデバイスの有効性の検証、(2-2)血管閉塞モデルを用いたマッサージデバイスとカニュレーションデバイスの有効性評価 などを行う予定である。 マッサージ法に関しては実現性が高いと考えているが、カニュレーション法に関しては開発した針の質に依存する可能性がある。2年目までにカニュレーション法が不可能であると判断された場合はマッサージデバイス研究に一本化する。
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