研究課題
パルスジェットメスは、液体ジェットメスと比較して極少量の水のみを必要とし、網膜大血管を温存できることが予測されるため、網膜静脈閉塞部血管を温存しながらマッサージできるデバイスを考案する。まずは、パルスジェットデバイス網膜硝子体手術への臨床応用に向け、デバイスのマイクロ化を行い、眼科専用デバイスの作成に成功した。30ゲージニードルから実際にパルスジェット波形が水中で確認できた。網膜硝子体手術は6mlほどの閉鎖空間で行う手術であり、眼圧上昇を引き起こさない程度の流量を決定することが必要不可欠である。ウサギ生体正常眼を用いて眼内手術中の眼圧を評価し、0.05ml/minではジェット噴射開始1分で眼圧40mmHg以上を記録したが、0.025ml/minではジェット噴射開始3分で眼圧40mmHg未満であった。よって、眼圧上昇が生じない安全な流量は、0.025ml/minであることが明らかになった。また、脆弱な網膜組織の損傷をきたさない程度の出力で網膜血管を適切にマッサージし厳密に制御することが重要であるため、周波数・距離・出力を含めた安全な使用条件の検証を行った。検討を重ね、網膜出血や網膜裂孔を生じずに血管内血液をマッサージで移動可能である最も効率的な周波数、パワー、距離は、それぞれ順に、10Hz、40V、0.5 mmであることを確認した。さらに、網膜血管外マッサージの理想的な出力を決定するために、生体ウサギに対しパルスジェットを行い、翌日、3日後、7日後に光干渉断層計OCTで網膜を評価し、また病理学的にも評価した。40Vのパルスジェットにより、網膜浮腫は生じたが不可逆的な網膜損傷を生ずることなく、血管内血球移動に成功した。適切な強度のパルスジェットは、網膜血管疾患の治療を可能とする安全な機器として有望であると考えられた。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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