研究課題
先ず、原発開放隅角緑内障(広義)症例333例333眼を、眼軸長26㎜以上または―6D 以下の強度近視群107例107眼、―6Dから―1Dの中等度近視群106例106眼と―1D以上の非近視群120例120眼の3群に分けて、視野障害進行の解析および乳頭出血の出現頻度を解析した。その結果、強度近視群では非近視群に比較して、乳頭出血の頻度が有意に低く、また、MDスロープ、生命表解析で視野の進行速度が有意に遅いことが判明した。次にSD-OCTを使用して乳頭周囲網脈絡膜萎縮の形態を解析し、網膜神経線維層以外の網膜各層が欠落しブルフ膜も欠損している部位をコーヌス (Jonasのgamma zoneに相当)と定義し、網膜各層のうち網膜色素上皮のみが欠落しブルフ膜は存在する部位をPPA (Jonasのbeta zoneに相当)と定義し、上述の原発開放隅角緑内障(広義)症例333例333眼を、コーヌス群49例49眼、PPA群160例160眼、PPA+コーヌス群124例124眼の3群に分けて視野進行速度、乳頭出血など臨床因子を検討した。その結果、コーヌス群ではPPA群に比較して、乳頭出血の頻度が有意に低く、また、MDスロープ、生命表解析で視野の進行速度が有意に遅いことが判明した。本研究で強度近視をもつ緑内障の臨床的特徴が明らかになりつつある。近視緑内障の病態は近視視神経症の病態と緑内障性視神経症の病態が混在しているために、診断が難しく評価が困難なことが多いと思われる。両者を分けて考えることが重要である。
2: おおむね順調に進展している
本研究で強度近視をもつ緑内障の臨床的特徴が明らかになりつつあり、おおむね順調に進展している。
長眼軸眼(眼軸:26mm以上)のデータベースと正常眼(眼軸:26mm未満)のデータベースの網膜各層の厚みの比較を行う。その際に正常眼と長眼軸正常眼で、内層および外層の厚みが眼軸長と相関するかを検討する。特に我々が近視眼において注目する網膜外層において正常眼と、長眼軸正常眼との部位別に厚みに違いがないかを検討する。
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Invest Ophthalmol Vis Sci.
巻: 55(8) ページ: 5269-5277
Japanese Journal of Ophthalmology
巻: 59(2) ページ: 86-93