対象者(眼)に、角膜曲率半径、屈折、裸眼及び矯正視力、眼圧、前眼部及び眼底検査など、一般的な眼科検査をおこない、矯正視力良好で近視以外に眼疾患がなく本研究へ参加が可能であると判断された者に対し、今回の主要評価項目である黄斑部局所ERGによる黄 斑部内層機能解析、眼底写真による視神経所見の記録、OCTによる乳頭周囲神経線維層厚測定及び黄斑部内層厚の測定、非接触型眼軸長検査(IOLマスター)、静的視野検査等をおこなった。 一部の症例には、最近、検査が可能になった、皮膚電極ERG装置レチバルを用いての評価を加えた。この皮膚電極ERG装置は、従来からの黄斑部局所ERG装置に比べると全視野刺激である点が異なっているが、角膜への侵襲がなく、被験者にとって検査の負担が少な い検査である。 本研究の結果より、近視が強度になるほど、電気生理学的検査にては、その振幅や潜時が縮小および延長する傾向が見られ、非常に興味深い結果が得られた。一方で、ほぼすべての近視眼は、軸性近視であり、その眼軸長の延長そのものが、電気生理学的検査の結果(振幅の減弱など)に影響を及ぼす可能性を完全に排除できず、課題を残した結果となった。今後は、より症例数を増やし、様々な条件を複合的に解析する必要があると考えられる。 研究の結果の一部は、2016年4月の日本眼科学会総会、2016年8月の国際臨床視覚電気生理学会、2016年11月の日本臨床眼科学会にて発表をおこなった。
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