研究課題/領域番号 |
26462639
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山田 直之 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70437630)
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研究分担者 |
園田 康平 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10294943)
森重 直行 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40346565)
木村 和博 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60335255)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス / 緑内障 / 水疱性角膜症 / マクロファージ / 移植免疫 |
研究実績の概要 |
本年度はサイトメガロウイルス角膜内皮炎の鑑別疾患と考える単純ヘルペスウイルス角膜炎,帯状疱疹ウイルス角膜炎,角膜移植後拒絶反応について前房水の解析を行った。単純ヘルペスウイルス角膜炎の症例について前房水を計4例採取した。また,帯状疱疹ウイルス角膜炎の症例について前房水を計2例採取した。また,角膜移植後拒絶反応の症例について前房水を計8例採取した。 本研究は「山口大学医学部附属病院医薬品等治験・臨床研究等審査委員会」において臨床研究として既に承認されている。患者からは臨床研究の同意書を取得した。それぞれの前房水についてBio-PlexTMを用いて検体中のサイトカインの発現を評価した。これら3疾患の前房水では正常コントロールと比して,IL-6やIP-10やMCP-1の濃度が顕著に上昇していた。 IL-6については角膜移植後拒絶反応,単純ヘルペスウイルス角膜炎,帯状疱疹ウイルス角膜炎の順に濃度が上昇していた。特に角膜移植後拒絶反応では顕著にその値が上昇していた。IP-10については帯状疱疹ウイルス角膜炎,単純ヘルペスウイルス角膜炎,角膜移植後拒絶反応の順に濃度が上昇していた。MCP-1については単純ヘルペスウイルス角膜炎,角膜移植後拒絶反応,帯状疱疹ウイルス角膜炎の順に濃度が上昇していた。しかしながら,疾患間での差は顕著なものではなかった。以上からIL-6が顕著に上昇している時は角膜移植後拒絶反応の可能性が高いと考えた。これら3疾患について,3つのサイトカインはいずれもサイトメガロウイルス角膜内皮炎での上昇よりも大幅に上昇していた。このことはサイトメガロウイルス角膜内皮炎そのものの炎症は鑑別疾患に比して強くないことを示唆するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サイトメガロウイルス角膜内皮炎の主な鑑別疾患に該当する単純ヘルペスウイルス角膜炎,帯状疱疹ウイルス角膜炎,角膜移植後拒絶反応という比較的稀な疾患においてサンプル数が計14眼得られたため。また,複数回PCRを行えるだけのサンプル量も同時に確保できた。
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今後の研究の推進方策 |
今までのエントリー症例において臨床所見と前房水サイトカイン発現パターンの相関について解析を行う。解析を行うことでこれらの疾患の鑑別が容易となり,それを裏付けるサイトカイン発現パターンで説明できるようになることを目標とする。サイトメガロウイルス角膜内皮炎,単純ヘルペスウイルス角膜炎,帯状疱疹ウイルス角膜炎,角膜移植後拒絶反応症例については引き続き該当症例があればエントリーを継続する。同様に,検体の採取後, Bio-PlexTMを用いて検体中のサイトカインの発現を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
サイトメガロウイルス角膜内皮炎,単純ヘルペスウイルス角膜炎,帯状疱疹ウイルス角膜炎,角膜移植後拒絶反応,その他の前眼部炎症性疾患の症例についても,検体の採取後, Bio-PlexTMを用いて検体中のサイトカインの発現を評価するため。
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次年度使用額の使用計画 |
Bio-PlexTMのアッセイパネルの購入費に多くの経費が必要である。それぞれのサイトカイン発現の解析に必要なプレートを購入する必要がある。アッセイパネルは高額で,10枚前後が期間中に必要になると考える。また,PCR法による前房水中のCMV,単純ヘルペスウイルス,帯状疱疹ウイルスDNAの有無を調べる外注検査も症例毎に施行に必要があり,多くの経費が必要となる。前房水解析の補助をする研究助手(テクニシャン)の人件費,成果発表に関わる経費が必要となる。
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