研究実績の概要 |
[目的] 非動脈炎性虚血性視神経症(non-arteritic ischemic optic neuropathy, NAION)のラットモデル(rodent model of NAION, r-NAION)に対するL-アルギニンとステロイド治療のそれぞれの治療効果について、無作為割り付けを行い検討した。 [方法] Sprague-Dawley (SD) ラットにローズベンガル液(2.5mM/ml,1ml/kg)を静注後に視神経乳頭にアルゴンレーザーを照射しr-NAIONを発症させた。その後、生理食塩水投与群、L-アルギニン投与(L-Arginine 500mg/kg) 群、ステロイド投与 (methylprednisolone 20mg/kg) 群に無作為割り付けを行い、それぞれ3日間の投与を行った。治療効果は、Fluorogold (FG)を用いて逆行性染色を行い、発症3,7,14,28,56日後の生存網膜神経節細胞(retinal ganglion cell, RGC)数の経時的変化を評価し、比較を行った。 [結果] 生理食塩水投与群では、RGC数は発症28日後より有意に減少した。L-アルギニン投与群では、発症28,56日におけるRGC数は生理食塩水投与群と比較し、維持される傾向を認めたが有意差はみられなかった。ステロイド投与群では56日において有意にRGCの維持効果が認められた。 [結論] NAIONラットモデルにおけるRGC障害に対し、ステロイド投与がRGC数維持効果を持つ可能性が示唆された。また、L-アルギニン投与も有意差はみられなかったもののRGCが維持される傾向を認めた。
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