研究実績の概要 |
1.副腎皮質ステロイド、L-アルギニン、プラセボのランダム化試験:ラットモデルNAIONを発症させた後、生理食塩水投与群、アルギニン投与(500mg/kg)群、ステロイド投与(20mg/kg)群に無作為割り付けを行い、3日間の投与を行った。フルオロゴールドを用いて逆行性染色を行い、発症3,7,14,28,56日後のRGC数をカウントし、比較を行った。その結果、アルギニン投与群では、発症28,56日において維持する傾向を認めたが有意差はみられなかった。ステロイド投与群では56日で有意にRGCの維持効果が認められた。 2.L-アルギニンと角膜電気刺激(TES)の組み合わせによる相乗効果の確認:コンタクトレンズ電極を角膜側に陽性極、陰性極は口腔内に置いた。刺激機械のパルス幅は1ms,電流強度は100μA、20Hz,60分間の刺激とした。その結果、TESのみではRGCの機能維持に有意差は得られなかった。しかしこれにアルギニンを同時投与させると、相乗効果で有意な神経節細胞機能維持作用が得られた。 3. 副腎皮質ステロイドの単離短後毛様動脈弛緩作用のメカニズムの解明 メチルプレドニゾロン濃度を、0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.4mg/ml、0.8mg/mとしたときの血管弛緩作用は、それぞれ 76.92±4.16、61.44±5.18、39.17±5.59、23.45±2.59(平均±標準誤差%)で、濃度依存に血管を弛緩させることがわかった(n= 7)。また、メチルプレドニゾロンの血管内皮の障害の有無による血管弛緩作用には有意差がなかった。また、メチルプレドニゾロンを投与したのち carboxy-PTIO(n=5 )、L-NAME(n=5 )をそれぞれ投与したが弛緩作用は抑制されなかった。したがって、メチルプレドニゾロンは、内因性のNOを介さず、外因性のNOを放出することなしにNO非依存性に弛緩させていることがわかった。
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