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2015 年度 実施状況報告書

眼瞼手術が自発性瞬目と涙液量に及ぼす影響の解明と機能性流涙の新しい術式の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26462645
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

渡辺 彰英  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80516188)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード眼瞼下垂 / 機能性流涙 / 涙液貯留量 / meniscometry / 眼輪筋短縮術
研究実績の概要

眼瞼下垂は、上眼瞼が下垂し上方視野が狭窄する視機能低下をきたす疾患である。眼瞼下垂手術の目的は、その上方視野狭窄を改善するために上眼瞼を挙上することであり、主として眼瞼挙筋短縮術が行われている。
眼瞼下垂術後の涙液貯留量の変化については、これまでに我々の報告(Cornea 33(1): 14-7, 2014, Invest Ophthalmol Vis Sci 56(1): 54-58, 2015)しか客観的なデータの報告はなく、術前の涙液貯留量が多いほど術後に涙液は減少しやすく、その変化は術後6ヶ月にわたって持続すること、また術前の涙液量が少ない場合は、術後の涙液量はあまり変化しないことを示した。平成27年度は、これらの研究成果について、眼科手術 28(4):624-628,2015.に多症例の結果を報告し、涙道通過障害のない機能性流涙の症例に対して、眼瞼下垂手術が治療の選択肢のひとつとなる可能性を示した。
機能性流涙は、涙道通過障害がないにも関わらず流涙をきたす疾患であり難治である。治療は涙管チューブ挿入術や涙嚢鼻腔吻合術など、通過している涙道をさらに開通しやすくするといういわば非合目的な手術が主に行われてるのが世界的な現状である。我々は、下眼瞼弛緩のある機能性流涙症例に対して、眼輪筋短縮術を施行し、現在まで良好な成績を収めている。2015年の第4回涙道・涙液学会のシンポジウム「流涙症へのアプローチ~流涙症をみてどのように診断して、どのように治療するか~」において、「眼瞼からのアプローチ」として、この眼輪筋短縮術前後の涙液メニスカスの変化について発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

眼瞼下垂術後の涙液貯留量の変化については、CorneaおよびIOVSへの報告に加え、27年度は眼科手術に多症例での結果を示すことができた。また、眼瞼下垂術後の自発性瞬目の変化については解析が進行しており、学会および論文化の目途がついている。さらに、機能性流涙に対する新しい治療法(眼輪筋短縮術)についても、データを蓄積することができており、術後の長期間の評価が可能な状況である。

今後の研究の推進方策

眼瞼下垂術後の自発性瞬目については、瞬目のばらつきをどのように評価するかが問題であり、昨年度から検討してきたが、平均値よりも中央値を用いることで各症例の瞬目の評価を正しくとらえることができるという結果を得ており、今後さらなる多症例での解析を進める予定である。自発性瞬目の変化については、術後の涙液貯留量の変化と合わせて眼科医にとって術後管理上大変有用な情報を与えることができると考えている。
また、機能性流涙に対する新しい治療法の効果についても、さらなる症例と経過観察期間を蓄積し、観察結果を解析した上で、今後国内、国外の学会発表や論文化を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

データ解析用のパソコン、解析ソフト、データ保存のためのHDD等の購入予定としていたが、解析データの処理方法、特に自発性瞬目の解析方法が決定するまで見合わせることとした。

次年度使用額の使用計画

次年度繰り越し分については、次年度早期に解析用のパソコンおよびHDDを購入し使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)

  • [国際共同研究] アデレード大学眼科(Australia)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      アデレード大学眼科
  • [雑誌論文] 眼瞼下垂手術後における涙液貯留量の変化2015

    • 著者名/発表者名
      岡雄太郎、渡辺彰英、脇舛耕一、横井則彦、小泉範子、木下茂
    • 雑誌名

      眼科手術

      巻: 28 ページ: 624-628

    • 査読あり
  • [学会発表] 高速瞬目解析装置を使用した眼瞼下垂手術後における自発性瞬目の定量的評価2015

    • 著者名/発表者名
      服部裕基、渡辺彰英、山中行人、木村直子、上田幸典、鈴木一隆、豊田晴義、木下茂
    • 学会等名
      第30回日本眼窩疾患シンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-09-06 – 2015-09-06
  • [学会発表] 眼瞼下垂症、眼瞼皮膚弛緩症における術前術後の涙液貯留量の変化2015

    • 著者名/発表者名
      後藤田遼介、渡辺彰英、山中行人、横井則彦、服部裕基、小泉範子、木下茂
    • 学会等名
      第30回日本眼窩疾患シンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-09-05 – 2015-09-05
  • [学会発表] 流涙症へのアプローチ~流涙症をみてどのように診断して、どのように治療するか~眼瞼からのアプローチ2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺彰英
    • 学会等名
      第4回日本涙道・涙液学会総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2015-07-12 – 2015-07-12
    • 招待講演
  • [学会発表] 眼瞼から見た機能性流涙.流涙症を追求しよう-機能性流涙の病態解明とその治療-2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺彰英
    • 学会等名
      第4回日本涙道・涙液学会総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2015-07-11 – 2015-07-11
    • 招待講演
  • [学会発表] 流涙症に対する眼形成外科的治療2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺彰英
    • 学会等名
      第42回山形県眼科医会庄内部会
    • 発表場所
      酒田
    • 年月日
      2015-07-03 – 2015-07-03
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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