自動視野計Octopus 900(Haag-streit International社)と株式会社ナックイメージテクノロジーの視線解析装置アイマークレコーダーEMR-9を連動させ、既存の視野計を用いた静的視野検査時における固視微動が測定可能となる装置を開発し測定した。 対象は24~33歳の正常者9名9眼とした。EMR-9は矯正レンズが装用できるよう検眼枠を改良し設置した。視標呈示はOPIによるカスタムプログラムを用い各測定点に対して10dB閾上刺激を用いた。呈示時間は200ms、呈示間隔は2secとした。測定点は45度経線上に5度間隔で計8点を配置した。測定は視標呈示音であるビープ音と視標呈示ありの条件1、ビープ音なし、視標呈示ありの条件2、ビープ音、視標呈示なしの条件3の3条件で行った。解析は固視微動振幅およびマイクロサッカード成分を抽出して行った。 結果は固視微動振幅の標準偏差平均値が条件1で0.67±0.34°、条件2で0.66±0.48°、条件3で0.54±0.40°であった。視標呈示前後に発生する固視微動の振幅は条件1,2ともに視標検出に伴って有意に減少し検出後に増加したが、条件3では変動がなく、マイクロサッカードも同様の結果を示した。 以前よりマイクロサッカードは注意の移動に伴って特異的に変化することが多数報告されている。今回我々は現在自覚的応答のみで評価されている視野検査を新たに他覚的に評価する方法として、生体反応として不随意に発生する固視微動に着目し、視標検出に伴って特異的に変化するのではないかという仮説の元、測定を行った。そして本研究より静的視野検査中に発生する固視微動は視標検出時に減少し、被験者の注意の移動によって特異的に変化することが示唆された。これより固視微動を用いて視野を他覚的に評価できるという新たな可能性が示唆され、本研究の臨床的意義は大きいと考える。
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