研究課題/領域番号 |
26462654
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
日下 俊次 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (60260387)
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研究分担者 |
國吉 一樹 近畿大学, 医学部, 講師 (30234470)
杉岡 孝二 近畿大学, 医学部, 講師 (50399119)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 未熟児網膜症 / 抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体 / periostin / 硝子体 |
研究実績の概要 |
(平成27年度の研究実績の概要) Periostinは分泌型細胞外マトリックスでフィブロネクチン、コラーゲンタイプIとV、ヘパリンなどと相互に作用し、骨、歯、心臓弁などの発生、アトピー性皮膚炎の遷延化に重要な役割を果たしていることが知られている。我々は増殖糖尿病網膜症の増殖膜形成に関与することが最近明らかにされたこのperiostinに着目し、未熟児網膜症の病態、特に増殖膜の収縮への関与について検討することを計画した。すでに未熟児網膜症の硝子体液を10眼以上採取した。ELISA法を用いた硝子体中のperiostin濃度解析はすぐに行うことができるが、サンプル数をあと10眼程集めたうえで解析を行う予定である。また、全身への影響が懸念されるbevacizumabに代わり、より安全性が高いと考えられるranibizumabを未熟児網膜症に対する抗VEGF治療薬として用いることで全身への影響、特に血清VEGF濃度低下が軽減できるかどうかを検討することも計画した。これに関しても平成27年7月に近畿大学医学部倫理委員会の承認を得て、平成27年度中9例の症例に対してranibizumab投与を行った。その際、投与直前、投与翌日、1週後、2週後、4週後に血清採取、ならびに眼科的検査(前眼部検査、眼底検査、蛍光眼底撮影)を行った。予定症例数は12例であり、平成28年度中にあと3例症例を集めた上で血清中のVEGF濃度測定、ならびに眼科的所見の解析、2者の関連性の検討等を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度内(2015年7月)に未熟児網膜症に対するルセンティス(ranibizumab)硝子体内投与が学内倫理委員会の承認を得ることができた。翌月から適応となる症例に対し、書面による同意を得て、ルセンティス投与を開始し、2016年3月末時点で9例の投与を行うことができた。これは当初計画していた12例の75%に達するものである。なお、硝子体手術を行った症例での硝子体液の採取は数例で施行できたが、あいにく増殖膜を切除できるような適切な症例がなく、これに関しては今後の症例で採取したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度中に研究を終えるためには来年度の早い段階で残りの3例にルセンティス投与を行いたいと考えている。また、引き続き硝子体手術が必要な症例では硝子体液と増殖膜の採取を行い、来年度後半ではこれらの解析を一気に進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ルセンティス投与症例数が計画をやや下回ったペースであること、抗体等の購入をサンプル解析直前に行おうとしているためである。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度には計画通りの症例数と硝子体液等のサンプルが得られ、解析予定であるのですべての予算を使用する予定である。
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