研究課題/領域番号 |
26462657
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 航 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (00339160)
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研究分担者 |
野田 航介 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90296666)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 不飽和アルデヒド / アクロレイン |
研究実績の概要 |
アクロレインは煙草や環境汚染物質などに含まれる不飽和アルデヒドだが、近年になってアクロレインは抗酸化作用を有するグルタチオン(GSH)と結合することでその機能を低下させ、結果として酸化ストレスを亢進させることなどが明らかとなり、酸化ストレスの関与するさまざまな疾患で注目されるようになった。糖尿病網膜症の病態基盤においても酸化ストレスが重要な役割を演じていることから、本疾患においてもアクロレインはその病態に関与していると推測される。本検討の目的は、糖尿病網膜症におけるアクロレインの関与を明らかにすることである。 今年度は、増殖糖尿病網膜症患者(12例)および非糖尿病網膜症患者(10例)より硝子体手術中に採取された眼内液(硝子体液)におけるアクロレイン結合蛋白を定量し、両者で比較検討した。アクロレイン結合蛋白は増殖糖尿病網膜症患者の硝子体液中で、非糖尿病網膜症患者と比較して統計学的有意に増加していた。また、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼも同様に増殖糖尿病網膜症患者の硝子体液中でしており、アクロレイン結合蛋白との間に有意な正の相関があった。 さらに、培養網膜グリア細胞に対してアクロレイン刺激をおこなったところ、同刺激がその増殖および遊走を惹起することが明らかとなった。今後、その機序についてさらに検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、交付申請書に記載した平成26年度研究計画「糖尿病網膜症患者の生体試料を用いた検討」のうち、昨年度検討完了できなかった硝子体液を用いた検討を全て完了した。また、平成27年度研究計画に記載した網膜グリア細胞を用いたin vitro研究を遂行し、、学術的意義のある検討結果を得た。以上より、研究計画はおおむね順調に進行していると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、アクロレインが培養網膜グリア細胞の増殖および遊走を惹起するメカニズムについてin vitro実験をおこなって、検討を重ねる予定である。また、アクロレインが培養血管内皮細胞に対する効果も検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた培養血管内皮細胞に対するアクロレイン刺激実験が次年度に持ち越されたためであるが、研究計画としては概ね順調に進んでおり、最終年度に予定した実験も完了すると想定している。
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次年度使用額の使用計画 |
培養血管内皮細胞に対するアクロレイン刺激実験に使用予定である。
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