研究課題/領域番号 |
26462661
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中村 誠 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80273788)
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研究分担者 |
山田 裕子 神戸大学, 医学研究科, 講師 (00359861)
金森 章泰 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (10444572)
三木 明子 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10726988)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アクアポリン4 / 視神経脊髄炎 / 難治視神経疾患 / 光干渉断層計 / ヒト化免疫グロブリン |
研究実績の概要 |
ラット視神経に視神経脊髄炎患者血清を暴露することで作成した視神経脊髄炎モデル動物に対して、ヒト化免疫グロブリンを静脈注射(IVIG)し、その神経保護効果を検証した。フルオロゴールドの上丘内投与により、網膜神経節細胞を逆行性に標識した。また、網膜を摘出してニューロフィラメント蛋白量をWestern blotで定量した。その結果、IVIGを施行した群は施行しなかった群に比較して、患者血清暴露2週間の時点で、有意に網膜神経節細胞数は多く残存し、ニューロフィラメント量も有意に多かった。IVIGが視神経脊髄炎患者血清によって引き起こされる網膜神経節細胞死を抑制することを初めて実証した。視神経脊髄炎患者に対するIVIG療法適応の基礎的裏づけとなると考える。 発症後6ヶ月以上経過した視神経患者25名を抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性患者12名20眼と陰性患者13名15眼に分け、両群間における、構造変化として光干渉断層計(OCT)計測による視神経乳頭周囲網膜神経線維層厚(cpRNFL)と網膜神経節細胞複合体(GCC)、機能変化として視力とハンフリー視野計の平均偏差(MD)、を計測し、構造、機能、ならびに構造と機能の相関を、二群間で比較した。その結果、両群間で構造変化に有意な違いはなく、減少していたのに対し、機能変化はAQP4抗体陽性視神経炎患者でのみ有意に低下していた。そしてAQP4抗体陽性群では構造と機能に有意な相関があったのに対して、陰性群では相関はみられなった。すなわち、網膜内の構造変化が、両群間に質的な違いが有り、AQP4抗体陽性群は網膜神経節細胞障害が中心であるのに対して、陰性群ではグリア細胞や細胞外マトリックスのリモデリングが主体となっている可能性が示された。
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