研究課題/領域番号 |
26462664
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
井上 俊洋 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00317025)
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研究分担者 |
谷原 秀信 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (60217148)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 線維柱帯細胞 / アクチン重合化 / ライブイメージング |
研究実績の概要 |
線維柱帯細胞の機能を視覚化するためにGFPでラベルしたアクチンを導入し、タイムラプス顕微鏡を用いてライブイメージングを行った。その結果、デキサメサゾン刺激によってアクチン細胞骨格の構造が変わり、クロスリンクアクチンネットワーク(CLAN)を形成することが確認された。これまで固定した細胞のCLANを観察した報告はあったが、ライブイメージングによるCLAN形成の確認は我々が初めてであった。ライブイメージングによってCLANは刻々と形態を変え、形成と消失を繰り返す例もあることが分かった。また、デキサメサゾン刺激によってCLANが形成されることと、細胞遊走が低下することは報告されていたが、この2つの現象を直接結びつけるデータは得られていなかった。我々はライブイメージングを用いることで、CLANを形成した細胞が細胞遊走能に乏しいことを初めて証明した。さらに、Rho-kinase inhibitor(Y-27632)によるアクチンの脱重合化現象も、同様の方法でライブイメージングが可能であった。線維柱帯細胞におけるアクチンの脱重合化は、緑内障治療薬としてのRho-kinase inhibitorの薬効と関連しているため、薬剤に対する感度の個人差等、今後の臨床的な利益に繋がる治験が得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線維柱帯細胞に対するライブイメージングを用いた研究の成果が順調に得られている。
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今後の研究の推進方策 |
線維柱帯細胞の機能をさらに追求するため、アクチン細胞骨格の形態が貪食能に与える影響をライブイメージングを用いて検証する。貪食能は蛍光ビーズとオートカウンターを用いて客観的に評価し、アクチン細胞骨格の修飾については、デキサメサゾン、Rho kinase inhibitor、ラトランキュリン、などの効果を検討する。デキサメサゾンはステロイド緑内障の原因となりうる薬剤で、Rho kinase inhibitorおよびラトランキュリンは緑内障治療薬としてそれぞれ発売中および治験中である。したがって、本研究の進展により臨床的に有意義な成果が得られる可能性がある。
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