研究課題/領域番号 |
26462666
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
池田 陽子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (00433243)
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研究分担者 |
田代 啓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10263097)
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
森 和彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40252001)
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40426531)
中野 正和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70381944)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 視野障害 / 緑内障 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに広義原発開放隅角緑内障(広義POAG)のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、緑内障に関連する遺伝因子(バリアント)を同定してきた実績がある。本研究の目的は、これまでにアフィメトリクス社のDNAチップでジェノタイプデータを取得した418例(500Kチップ)および833例(1000Kチップ)の広義POAG症例について、10年以上に渡り蓄積された臨床データベースに基づき視野障害のパターン別に群分けしGWASを実施することによって、視野障害パターンを規定するバリアントを同定することである。 本年度は、GWASの実施に向けて広義POAG1,100例の左右眼についてサブクラス毎に視野障害パターン(上方視野障害型、中心視野障害型、下方視野障害型)に基づく分類を実施した。ただし、視野障害が進行している場合には大部分が暗点しているために、視野障害の起点の判別がかなり困難であった。従って、このような症例については過去のカルテを可能な限りさかのぼって判定することを試みた。また、判別が不明瞭な場合には当院における緑内障専門医3名にて視野障害のパターンを協議し決定したが、判定不能とせざるを得ない症例も存在した。また、上方視野障害型、中心視野障害型、下方視野障害型のいずれかの障害型を左右で別々に持つ症例もあり、今後GWASを実施していくにあたり群分けの方法を検討していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.新規検体の収集および緑内障視野障害パターン解析(池田・森・上野・木下が担当) 本年度はジェノタイプデータを有する1,070例の広義POAG(原発開放隅角緑内障および正常眼圧緑内障)の視野障害パターンを決定した。また引き続き再現性取得実験用の症例収集およびそれらの症例の視野障害パターンの判定を行っている。 本年度実施した判定の結果、右眼の場合、原発開放隅角緑内障では上方視野障害型、中心視野障害型、下方視野障害型、不明、正常型はそれぞれ144、36、78、177、11眼、正常眼圧緑内障ではそれぞれ210、29、98、258、29眼であった。左眼については、原発開放隅角緑内障では127、35、110、160、14眼、正常眼圧緑内障については172、43、128、252、29眼であった。 また、来年度以降に実施予定のGWASの再現性取得実験に必要なPOAGおよび正常眼圧緑内障の新規症例を確保するため、本研究に対してのインフォームドコンセントによる同意を得られた症例については採血を実施する。血液は匿名化管理室にて匿名化した後にゲノム医科学部門においてゲノムDNAの抽出及び保存を行っている。 視野が進行している場合はどのタイプの視野障害パターンの判別かかなり困難である。過去カルテがたどれる症例についてはできうる限りさかのぼって、どの部分から障害されたかの判別を行った。また判定困難な場合は当院における緑内障専門医3名にて視野障害パターンを判別した。どうしても判別できないものは判定不能とせざるを得ない場合もあった。また1症例について上方視野障害型、中心視野障害型、下方視野障害型のいずれかの障害型を左右で別々に持つ症例もあり、その場合の視野障害型の場合分けが二つとなってしまい、最終的にどちらに分類するのかが難しく、検討を要する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、広義POAG(正常眼圧緑内障を含む)の視野障害パターン別のGWASの実施に向けて、総計1,070症例の左右眼について視野障害パターン(上方視野障害型、中心視野障害型、下方視野障害型)を決定した。次年度以降、本年度決定した群分け情報に基づきGWASを行い、視野障害パターンを規定するバリアントの同定を試みる。
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