研究課題
申請者は眼GVHDの線維化にドナー由来新鮮骨髄間葉系幹細胞(MSC)が主要な役割を担い老化マクロファージとの相互作用が関与する事を見いだした。ヒト眼GVHDの病態を反映するマウスGVHDモデルにより、次の点を追究した。1) 眼GVHDにおけるドナーMSCとマクロファージの局在と相互作用を確認した。2) MSCと免疫担当細胞の相互作用による眼GVHDの発症と慢性化の分子機構の解析をすすめ成果をまとめて論文掲載に至った。Ogawa Y, et al. eLife 5:e09394;2016.1)眼GVHDの発症時期の免疫応答と線維化機構を検証するために、マクロファージおよびドナーMSCの遊走経路や病変部位での関わりを明らかにした。2)マクロファージがドナーMSCの遊走を促す因子を放出する可能性を追究しMSCの遊走に関わる標的分子およびMSCの活性化と線維化に関わる分子を特定を解析し、細胞老化にかかわる液性因子が慢性GVHDの線維化に関わる可能性が見出された。3)次に老化マクロファージが眼GVHDの発症にどのように関わるかを調べるため、老化マーカーであるp16INK4a の発現イメージングマウスの骨髄を単離して移植し、経時的に老化マーカーp16 INK4aを発現するマクロファージの浸潤経路を対照と比較して病態への関与を解析中である。。4)ドナーMSCの除去移植による有効性をマウスモデルで確認した。ドナーMSC除去移植により慢性GVHDの慢性炎症と線維化の大部分が抑制されることからと老化マクロファージの浸潤抑制も同時に効果がある可能性が考えられた。本研究成果の意義は、眼GVHDに加え他臓器GVHDや、眼類天疱瘡、Stevens Johnson 症候群および生命必須の臓器である肝臓や肺における難治性線維化疾患の病態解明、新規治療法の開発と臨床応用への道を開く可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
申請者は眼GVHDの線維化にドナー由来新鮮骨髄間葉系幹細胞(MSC)が主要な役割を担い老化マクロファージとの相互作用が関与する事を見いだした。ヒト眼GVHDの病態を反映するマウスGVHDモデルにより、次の点を追究した。1) 眼GVHDにおけるドナーMSCとマクロファージの局在と相互作用の証明2) MSCと老化マクロファージの相互作用による眼GVHDの発症と慢性化の分子機構の解析MSCによる病態の解析については成果をまとめて論文掲載に至った。Ogawa Y, et al. eLife 5:e09394;2016.
1)今後、老化マクロファージがGVHDドライアイの発症にどのようにかかわるかを調べるために、老化マーカーであるp16INK4a の発現イメージングマウスの骨髄からマクロファージを単離して移植し、経時的に老化すると老化マーカーp16 INK4aを発現するマクロファージを検証し浸潤経路を対照と比較して病態への関与を解析する。2)老化マクロファージが分泌する炎症性サイトカインの種類や局在を検討する。3)ドナーMSCまたはマクロファージの除去骨髄移植のうちMSCの除去移植による有効性、安全性をマウスモデルで確認した。ドナーMSC除去移植により慢性GVHDの慢性炎症と線維化の大部分が抑制されることからと老化マクロファージの浸潤抑制も同時に効果的に生じている可能性が考えられる。今後はマクロファージを選択的に除去する薬剤を使用して、マクロファージの除去移植後のレシピエントの炎症および線維化の程度を検証する。ドナーMSCと老化マクロファージによる相互作用が眼GVHDを発症、慢性化をさせるメカニズムをさらに明らかにする。4)MSCおよび老化マクロファージの中で特に抗原性が強い分画を見出し、選択的に除去して造血幹細胞移植ができるようにドナー移植細胞の最適化を図る。5)新規治療法の開発と臨床応用につなげるために内科との討論、連携を深める。将来の臨床試験のための倫理委員会申請書類、プロトコールを準備し倫理委員会申請および承認へむけた準備をする。
平成27年度は計画どおりに研究がすすめられたが、年度の終了時点で262円の研究費が残った。残った262円は27年度に使用予定がなく28年度の消耗品用とした。
平成27年度に生じた繰越額は28年度消耗品として使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件) 図書 (5件)
eLife
巻: 5 ページ: e09394
10.7554/eLife.09394
Cornea
巻: 34 ページ: S142-S152
10.1097/ICO.0000000000000586
Modern Rheumatology
巻: 25 ページ: 737-743
10.3109/14397595.2014.1002968
Opt Vis Sci.
巻: 92 ページ: S25-S32
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