研究課題/領域番号 |
26462670
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高橋 浩 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00188046)
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研究分担者 |
五十嵐 勉 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10421190)
金田 誠 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (30214480)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 眼科 / 内眼手術 / 水素 / 酸化ストレス / 侵襲 |
研究実績の概要 |
内眼手術と酸化ストレスの関連では、白内障超音波乳化吸引術(PEA)における角膜内皮障害の原因としてフリーラジカルの関与が示唆されてきた。我々の検証により実際に角膜内皮細胞が酸化ストレス障害を受けることが明らかとなった。内眼手術の中でも最も件数の多いPEAの組織傷害因子として活性酸素種、特にOH・が重要であることを 確認し、内眼手術と酸化ストレスの関連を考える契機となった。 一方、水素ガスは組織・細胞種を問わず自由に拡散して OH・を選択的に還元する新しい概念の抗酸化物質である。以前、我々はラット網膜の虚血‐再還流障害モデルを用いて水素ガスを溶解した点眼液の効果を検討したところ、水素ガスは速やかに硝子体から網膜に到達して網膜厚の菲薄化を抑制した。そのため、内眼手術における水素ガス応用という着想に至り、眼科手術用眼内灌流液への水素ガス溶解を利用した研究に着手した。 まず、内眼手術に必要な水素含有眼内灌流液の作製を試みた。水素ガスを充満したアクリル容器に眼内灌流液を24時間留置することで、60%の水素含有眼内灌流液を作製出来ることが分かった。 続いて、この眼内灌流液を用いて、白内障超音波発射時に生じるフリーラジカルの減少効果をみた。そこで臨床で行っている手術と同様の条件でウサギの前房内で超音波発射を行い、角膜内皮の酸化ストレスを検討した。内皮細胞における酸化ストレスマーカーの免疫染色を行ったところ、陽性細胞数が水素含有眼内灌流液により有意に低下した。すなわち、眼内灌流液に含まれる水素はフリーラジカルの発生を抑制させ、角膜内皮への侵襲を軽減させる可能性があると考えられた。 さらに硝子体手術における網膜光障害が起きているか検討した。酸化ストレスマーカーで検討したところ、光照射群において陽性細胞数が上昇していた。今後、水素眼内灌流液をして、侵襲軽減の効果について検討する。
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