研究課題/領域番号 |
26462673
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
伊藤 正孝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 准教授 (30534896)
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研究分担者 |
有田 玲子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00338120)
竹内 大 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (40260939)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ビタミンD / 角膜 / 角膜上皮細胞 / 細胞分化 / 細胞増殖 / 細胞接着装置 |
研究実績の概要 |
角膜上皮細胞に対するビタミンDの影響を検討する目的で、前年度には、マウス角膜上皮細胞株をカルチャーインサート膜上で培養する3次元培養法を確立した。この方法では、重層性や微小形態などの点で生体の角膜によく類似した 組織が出来ることが確認されている。この培養系に活性型ビタミンD誘導体の一種である22-oxacalcitriolを添加すると、用量依存的に細胞増殖が抑制されることは前年度に確認されていたので、当該年度にはさらにバリア機能を評価する目的で、ビタミンDを投与した、またはしていないインサート膜上培養上皮の上下で経上皮電気抵抗を測定したところ、予想に反して、ビタミンD投与群で電気抵抗が低下していた。さらに、定量RT-PCR法によりディフェンシン等の抗微生物ペプチドの発現を調べたところ、有意な差は見られなかった。電気抵抗の低下は細胞接着性の低下を示唆するもので、これらの実験から、ビタミンDが上皮のバリア機能を高めているという所見は得られなかった。 そこで、ビタミンDの角膜上皮細胞に対する影響の検討として、関連遺伝子の発現変化の網羅的観察を目的として、DNAマイクロアレイを実施した。その結果、多数のケラチン遺伝子が抑制されてることがわかった。このことから我々は、ビタミンDが角膜上皮細胞において異常な角化を抑制しているものと考え、上記細胞株を用いた創傷治癒モデルを作成し、ビタミンDの影響を評価することとした。 この創傷治癒モデルは、プラスチックシャーレに上記細胞株をコンフルエントになるまで培養したのち、ピペットチップで掻き傷をつけるもので、上皮欠損部分の面積を定量することで評価する。これまでの検討から、この実験系ではいくつかの細胞増殖因子とその阻害剤によって、創傷治癒が促進/遅延することが確認できている。最終である28年度には、この系を用いて、ビタミンDの角膜上皮細胞に対する影響を評価してゆく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス角膜上皮細胞株の培養系に活性型ビタミンD誘導体の一種である22-oxacalcitriolを添加して、ディフェンシンなどの抗微生物ペプチドの発現をRT-PCR法で定量したところ、予想に反して発現の上昇が見られなかったことから、本来の研究計画に含まれていなかったマイクロアレイによる解析を実施したため、研究遂行に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新規に開発した培養角膜上皮創傷治癒モデルを用いて、ビタミンDの角膜上皮に対する影響を評価してゆく方針である。 具体的には、マイクロアレイ解析結果から顕著に抑制されていた複数のケラチン遺伝子について、定量RT-PCR法によって発現抑制を確認したのち、培養角膜上皮創傷治癒モデルにビタミンDを添加して、創傷治癒がどのように変化するかを観察しつつ、透過型電子顕微鏡観察および免疫電子顕微鏡観察をおこなって、創傷治癒部分におけるケラチンタンパク質の発現がビタミンDの有無によってどのように変化するかを観察する 。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅延により実施できなかった研究があったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の実験計画に加えて、新規の培養系を用いた実験を計画し、最終年度の助成金も適正に使用してゆく方針である。
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