研究課題
眼のぶどう膜炎の病態には転写因子 NF-kappaB が重要である。我々はこれまで動物モデルで種々の NF-kaapB 阻害薬の有効性を報告してきた。しかし、NF-kappaB は感染防御・細胞増殖等にも重要であるため、単純に抑制するだけでは全身的副作用の面から臨床応用には至らない。今回の計画では炎症反応下でのみ活性化される分子を標的としている。すなわち IkappaBキナーゼ(IKK)の特異的阻害により副作用を回避しつつ、有効性の高い治療薬を評価する。研究計画では IKK 特異的阻害薬 IMD-0354 の実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)への抑制効果を検討する予定であった。しかし 27 年度初めに共同研究者はさらに別の有望な候補物質 IMD-0560 の合成に成功した。そのため当初予定の IMD-0354 とそのプロドラッグ IMD-1041に加え、新規に合成された IMD-0560 とそのプロドラッグ IMD-2560 の細胞レベルでの有効性をまず検討した。その結果、いずれも強力な抗炎症効果を示した。これらは標的分子も同様であるが、TNF-alpha 刺激時の IL-6 産生、 PGE2、PGD2 などのプロスタグランジン産生、VEGF 産生のいずれも新規候補化合物 IMD-0560 が上回っており、より有望な新規候補薬剤と考える。次年度は当初の2剤と今回有効性が期待された2剤の4剤で動物モデルでの有効性と安全性を評価したい。
2: おおむね順調に進展している
当初計画では 26 年度に動物モデル、 27 年度以降に細胞実験を予定していたが、有望な新規候補物質が合成されたため、実験の順序を入れ替えて細胞実験を先に行った。動物実験に必要な抗原、アジュバント等は用意されている。
細胞実験で有効性が示されたため、当初予定の IMD-0354 とそのプロドラッグ IMD-1041 に加えて、新規候補物質 IMD-0560 とプロドラッグ IMD-2560 も加えて動物モデルでの有効性を検討する。薬剤は腹腔内投与、プロドラッグは経口投与する。EAU は免疫後21日目に眼炎症が極期に達するため、薬剤投与量、投与のタイミング、投与経路等を条件を変えて検討する。
研究計画に沿って、研究費は順調に使用されている。一部の研究費が残存していたが、当初予定していた実験の順序を入れ替え細胞実験を先に行い、動物実験を行わなかったため
平成27年度に施行予定の実験費用に使用する予定である。
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