研究課題/領域番号 |
26462675
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石嶋 漢 北海道大学, 大学病院, 医員 (70634765)
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研究分担者 |
北市 伸義 北海道医療大学, 個体差医療化学センター, 教授 (40431366)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ぶどう膜炎 / 転写因子 / 新規薬剤 |
研究実績の概要 |
試験概要:C57BL/6マウスに安定的に実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を誘導した。試験薬剤である IkappaB キナーゼ阻害薬 IMD-0354 とそのプロドラッグである経口薬 IMD-1041 をマウスに投与して、ぶどう膜炎の軽症化を検討した。特に注射薬 IMD-0354 は現時点で優れた効果を示している。 1. 注射薬 IMD-0354:[計画] 6-8週齢のマウスにヒト視細胞間レチノイド結合蛋白(IRBP)由来合成ペプチドと結核死菌強化完全フロインドアジュバントエマルジョンを皮下注射する。追加免疫として百日咳菌毒素を0.1マイクロg腹腔内投与してEAUを惹起する。IMD-0354 (30, 10, 3 mg/kg) を連日腹腔内注射する。対照群には基剤のみを投与する。免疫10日後から3日おきに21日目まで、麻酔下で散瞳薬と検眼鏡を用いて経瞳孔的にマウス眼底検査をおこなう(臨床的重症度)。固定後組織標本を作製し、組織学的に重症度を評価検討する(病理組織学的重症度)。[結果] EAU は薬剤投与群で有意に軽症化した。現在薬剤投与量、投与法、投与時期等をさらに詳細に検討している。計画立案段階では薬剤を連日投与と考えたが、実際には3日に一度程度の腹腔内投与で有効性が得られ、当初予想以上の有効性を持つ可能性が十分ある。 2. 経口薬 IMD-1041:[計画] 本薬剤は連日投与を想定しており、将来の臨床応用を考えると経口薬の方が望ましい。しかし、プロドラッグである IMD-1041 は開発されて間もないため実験データが少なく、また薬剤代謝速度がげっ歯類とヒトでは異なるため、投与間隔、投与量などの確立に注射薬 IMD-0354 より時間を要する。[結果] 現時点で有効性は不安定である。げっ歯類はヒトより本剤の分解・代謝が速いため、投与量、投与時期、投与頻度等をさらに検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験薬剤の溶解性が悪く、溶解法、投与法、投与時期等試行錯誤した。そのため年度前半はやや予定より進捗が遅れ気味であったが、後半は特に注射薬である IMD-0354 の有効性を示す結果が安定して得られ、さらに本研究計画に光干渉断層撮影による評価法を導入し、より客観的な評価を行えるようになった。本研究計画は27年度後半から急速に進捗速度を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
試験薬剤の効果の再現性を確認する。その上で最適な投与量・投与法を決定する。マウス眼内の炎症細胞数、蛋白濃度、一酸化窒素濃度、サイトカインおよびケモカイン濃度を測定し、コントロールマウスと比較する。サイトカインおよびケモカイン濃度はELISAによって測定する。分子メカニズムを解析するため、炎症関連分子 p-selectin、intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1)、TNF-α、IFN-γ、IL-6、monocyte chemotactic protein-1 (MCP-1)などの発現変化をreal-time PCR、western blotting、ELISAを用いて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度前半は試験薬剤の条件設定を試行錯誤したため、動物実験が予定より少なかった。 既に条件はほぼ確定したため、28年度に加速して動物実験を施行予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に施行予定の実験費用に使用する予定である
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