研究課題/領域番号 |
26462677
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 和一 東北大学, 大学病院, 講師 (10433244)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ミクログリア / マクロファージ |
研究実績の概要 |
我々は本研究において、Iba-1GFPマウスに対して視神経軸索流障害を施行した。軸索流障害後毎日F10にて網膜を観察・撮影しミクログリアの動態を検討した。 その結果、軸索障害後よりGFP陽性の細胞が視神経乳頭部を中心にして網膜全体に浸潤し、障害後7日目で最も多くのマイクログリアが網膜内に浸潤していることが判明した。そこで我々は網膜内のマイクログリアが軸索障害の様な炎症期にどのような役割を担っているのかを in vitroモデルを用いて検討を行った。 次に我々はマイクログリア陽性細胞をマウス胎児大脳皮質より分離することに成功した。アストロサイトと共に培養を行うことでマイクログリアの増殖を促進し一定期間にin vitroモデルに使用出来るマイクログリアを繰り返し得ることが出来た。このように我々は網膜内の細胞を選択的に採取し個々の細胞で種々の刺激を加えることが出来るため、細胞別にその機能を解析することが可能である。我々はこの方法を用いミクログリアの種々の炎症(LPS, LPS-IFN-γ)・抗炎症刺激(TGF-beta2)を加えることで神経成長因子などRGCの生存に有用なミクログリアの亜集団を見つけることを目的とした。また我々はマクロファージを用いた同様の研究を施行する。マクロファージは6-8週齢C57BL/6マウス腹腔より回収した。採取したマクロファージをミクログリアと同様の刺激を加え、神経成長因子などRGCの生存に有用なマクロファージの亜集団を見つけることを目的とした。その結果、マイクログリア・マクロファージともに同様に種々の刺激を行い、炎症期のマイクログリアからの神経保護因子であるBDNF, NGFを探索した。その結果TGF-beta2で刺激したマイクログリア・マクロファージからBDNF, NGFが産生される事が判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在平成27年度における実験も開始し、その結果が得られているため。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度得られたデータを元にマイクログリアとマクロファージの関係を明らかにする。我々はThy-1-EGFPマウスを用いてマクロファージと神経節細胞の関連を明らかにする。神経挫滅後に大きな神経節細胞が生き残ることは既知の事実であるが、我々の研究でその細胞の周囲にはマイクログリアまたはマクロファージが集合している事がわかっている。このためまずはマイクログリアかマクロファージどちらがその神経節細胞の周囲に集合しているかを検討する。次にマクロファージを特異的に障害する薬剤を用いて神経保護が行われるかどうかを確認する。 次にマイクログリアまたはマクロファージをTGF-beta2で刺激し、神経挫滅後のマウス硝子体に投与して神経節細胞死が抑制されるかどうかを検討する。さらに神経挫滅後に誘導されるマイクログリアまたはマクロファージを神経保護因子の産生に関与する細胞群に誘導する薬剤またはウィルスなどを開発する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究において、トランスジェニックマウスを購入する予定であったが、納品が遅れることが予測できたため次年度にマウス購入費を計算した
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度4月にマウスが搬入されたので、4月に次年度使用額を使用する予定である。
|