研究課題
生後直後のマウス(P0マウス)の大脳皮質より、マイクログリアの大量培養に成功した。またマイクログリア培養に使用した同種同系列のマウス腹腔内マクロファージを用いて、同じサイトカイン(インターフェロンガンマ、TGF-beta2など)で刺激し、マイクログリアとマクロファージを比較したところ、マイクログリア・マクロファージ共にTGF-beta2で刺激した群のみ神経保護因子を産生したことを確認した。さらに、神経挫滅モデルにおいて、神経節細胞にMCP-1の発現が認められた時にGFPを発現するウィルスを感染させ、神経挫滅実験を行った。MCP-1は神経挫滅するとマウス実験では術後2日で発現が神経節細胞で認められ発現は術後7日目まで継続するためにMCP-1プロモーターを選択した(術後2日ではまだ神経節細胞は細胞死を起こしていない)。また術後7日といった神経節細胞がほぼ細胞死を起こしている時期でも決まった大型の神経節細胞が生存しMCP-1を発現ていることが証明されている。そこで術後7日まで残った大型のMCP-1発現神経節細胞周囲を確認したところ多くのマイクログリアが存在し、それに対してマクロファージは血管周囲にのみ存在し、大型の神経節細胞の周囲には認められなかった。このことより推測であるが、マイクログリアは神経節細胞を保護している様な像を観察出来た。さらにマウスマクロファージをクロードロネートの静脈内投与により除去し、神経挫滅をしたところマクロファージ・マイクログリアともに視神経周囲に存在する細胞の形態が変化することを確認出来た。このことより、マウス神経保護に関してマクロファージ・マイクログリア共に重要な役割を果たしていることが判明した。
2: おおむね順調に進展している
平成28年における細胞毎の役割を確認する実験を開始しており、その結果が得られつつあるため。
現在神経節細胞に神経障害時に神経保護因子を産生するようなウィルスを投与し、その結果マイクログリアまたはマクロファージがどのような働きをするか確認する。また神経保護因子を有するマイクログリアを培養し、神経挫滅時に硝子体内に投与することを行う。
今年度の研究でIba-1GFPマウスに神経節細胞に標識を投与する予定であったが、Iba-1GFPマウスの繁殖がうまくいかなかったために次年度に実験を行うために消耗品を購入するために繰り越した。
すでに標識を獲得し、現在投与中であるため次年度には次年度使用額を使用する予定である
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すべて 雑誌論文 (3件)
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