研究課題
網膜神経成長因子を多く産生しする網膜神経節細胞(RGC)を誘導するために、既存のRGCにNRF-2またはBDNF(brain derived neuro factor)を強発現させるウィルス(adeno associated virus)を感染させた(ウィルス感染はマウス麻酔後に硝子体内へ投与する方法を選択した)。ケタミン・キサラジン麻酔をした後に、痛みが無い事を確認し眼球を脱臼させ手術顕微鏡を用いて眼球後方の強膜組織を露出させた。露出した強膜よりガラスニードルを眼内に穿刺し、水晶体を傷つけないようにウィルス液を投与した。感染を確認した後にマウス視神経挫滅を行い、時間経過でマウス網膜を観察した。その結果、コントロール群と比較するとRGCの減少は優位に抑制されており、かつNRF-2またはBDNFを感染させた群においては、残存した神経は太く、神経の周囲に浸潤していると思われるF4/80陽性細胞が少なく、逆にIba-1陽性細胞が多く存在していることが分かった。このIba-1陽性細胞はF4/80のマーカーを持っておらず、残存する神経周囲に巻き付くように存在していることが判明した。このことから神経挫滅後のモデルにおいて、神経保護に関与する細胞がF4/80陽性細胞のマクロファージではなく、Iba-1陽性細胞のミクログリアであることが判明した。本研究は、緑内障病態を免疫学的な見地から解明すると共に、その関与すると考えられる免疫担当細部であるミクログリア・マクロファージを外部刺激(サイトカインなど)で操作し、治療に介入させることで、現在まで全く考慮されていなかった新しい緑内障治療法を開発できる可能性があった。本研究にて得られた知見を元に、さらには適切な薬剤開発などに応用することも可能であると考える。
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