今年度はまずangptl2といいうターゲットを抑制する核酸医薬の配列決定の実験を行った。3種類のマウスangptl2に対するsiRNAを作製し、マウス3T3細胞に遺伝子導入したところ、いずれもangptl2の発現の抑制効果を確認した。次にマウス角膜における核酸医薬のドラッグデリバリーを確認した。前述したsiRNAの検討をもとに、angptl2に対する1本鎖RNA抑制ツール(angptl2 xshRNA)を合成した。それを点眼したところ、角膜上皮の最表層にしかデリバリーされなかったため、脂質ナノ粒子(lipid nano-particle; LNP)にangptl2 xshRNA(LNP+angptl2 xsh)を包埋し点眼した。すると角膜上皮、実質でangptl2の発現が抑制され、一度点眼すると12-48h程度効果が持続することが確認された。さらにマウスの血管新生モデルにおけるこのLNP+angptl2 xsh RNAの点眼効果を検討した。手術用顕微鏡下でマウスにアルカリ被爆(0.1N NaOH)により角膜瘢痕、血管新生を誘導した。コントロールまたはLNP+angptl2 xsh RNA点眼製剤を14日間一日1回点眼を行った。するとコントロールと比較して、LNP+angptl2 xsh RNA点眼群ではangptl2の発現が抑制され、角膜血管新生や炎症反応が顕著に抑制された。
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