研究実績の概要 |
本年度は前年度に行ったAngptl2をターゲットとした核酸医薬の角膜へのドラッグデリバリーならびにマウスアルカリ外傷モデルにおける点眼での炎症抑制・血管新生抑制に関する再現性実験を行い、論文作成を行った。そして臨床応用に向け、ヒトAngptl2の配列をターゲットとした核酸製剤を合成し、in vitroでのAngptl2の発現抑制効果を確認した。 今年度はさらにマイクロRNA(miRNA)補充療法の点眼製剤の実現化に向けた開発にも着手した。組織の瘢痕・線維化・血管新生に関与するmiRNA29b(miR-29b)の製剤化するため、まずヒトマウス共通に使用可能なmiR-29bの構造を決定した。in vitroにおいて、このmiR-29b mimicsをヒト培養角膜実質細胞に添加すると、TGF-beta, VEGF, I型コラーゲンなどのターゲット分子の発現が抑制された。前年度同様脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle; LNP)にmiR-29b mimicsを包埋し、点眼することによるマウスアルカリ外傷モデルに対する効果を検討した。手術用顕微鏡下にマウスにアルカリ被爆(0.1N NaOH)により角膜瘢痕・血管新生を誘導し、コントロールまたはLNP+miR-29b mimics点眼製剤を14日間一日1回点眼を行った。するとコントロールと比較して、LNP+miR-29b mimics点眼群では、角膜血管新生や瘢痕が顕著に抑制された。
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