研究実績の概要 |
本課題は現在有効な治療薬のない角膜血管新生や瘢痕形成に対する新しい創薬の基盤となる研究であり、今年度はまず前年度までに検討してきたAngiopietin like protein 2 (Angptl2) psh, miR29b mimicsともに将来の臨床応用を見据えた検討を行った。まず、WST-1アッセイを行い、その安全性試験を確認した。両方とも顕著な細胞毒性は示さず、コントロールに用いた生理食塩水とほぼ同等であった。さらに核酸医薬開発のネックとなる炎症惹起作用について検討したところ、toll like receptor-3 (TLR3)で誘導されるinterferon (IFN)-γやIFN-βの発現、ならびにTLR7で誘導されるIFN-αの発現は、Angptl2 psh, miR29b mimics添加によって誘導されないことをRT-PCRで確認した。これらにより、核酸医薬で問題となっているTLRを介した炎症反応は、これらの製剤では生じないことが確認された。 さらにヒトに近い角膜厚を持つ動物での核酸医薬点眼のドラッグデリバリーを検討した。蛍光ラベルしたmiR29b mimicsを前年度に用いたlipid nanoparticle (LNP) に包埋し、ウサギに点眼した。すると、点眼1時間で角膜上皮全層に、点眼後3時間ほどで角膜実質のほぼ全層、さらに角膜内皮まで、核酸医薬がデリバリーされることが明らかとなった。
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